英仏加首脳がガザ地区での軍事作戦中止求めるも、イスラエル首相は反発
(イスラエル、米国、カナダ、英国、フランス、カタール、パレスチナ)
テルアビブ発
2025年05月22日
英国、フランス、カナダの首脳は5月19日、パレスチナ自治区ガザ地区におけるイスラエルの軍事作戦の拡大に「強く反対する」とする共同声明を発表した。声明では、ガザ地区における人的被害状況は「容認できない」と非難し、イスラエル政府に対し、ガザ地区での軍事作戦を中止し、ただちにガザ地区への人道支援を許可するよう求めた。さらに、英国のデービッド・ラミー外務・英連邦・開発相は5月20日、英議会下院でイスラエルとの新たな自由貿易協定(FTA)締結に向けた交渉を一時中断したと発表
した。
イスラエル首相府によると、3カ国首脳による声明に対し、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は「われわれの生存のための防衛戦争を終わらせるようにイスラエルに求めることは、(2023年)10月7日のイスラエルへの大量虐殺攻撃に対して巨額の報酬を与えるものだ」と強く反発した。さらに、「イスラエルは(米国の)ドナルド・トランプ大統領のビジョン(2025年2月5日記事参照)を受け入れており、すべての欧州の指導者もこれに倣うべきだ」と述べた。戦闘終結の条件として、残る人質の解放、ハマスの武装解除、ガザの非武装化などを挙げた。
イスラエル占領地政府活動調整官組織(COGAT)によると、5月20日には93台のトラックがガザ地区に入ったとしている。イスラエル国防軍(IDF)は、「(支援物資が)ハマスの手に渡らないよう最大限の努力を払いつつ、今後も人道支援の円滑な実施を継続する」としている。
また、イスラエル首相府によると、カタールの首都ドーハで行われている人質返還交渉に関し、イスラエルは米国のスティーブ・ウィトコフ中東担当特使が示した枠組みに基づく米国の提案を受け入れたが、ハマスは提案を拒否し続けているとした。ドーハでの約1週間にわたる協議を経て、イスラエル交渉団の上層部はイスラエルに戻り、今後の対応を協議するとしている。
イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。
(中溝丘、テヒラ・シャラビー)
(イスラエル、米国、カナダ、英国、フランス、カタール、パレスチナ)
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