急速に進むトルコの高齢化と合計特殊出生率低下

(トルコ)

イスタンブール発

2025年05月23日

トルコ統計機構(TUIK)が5月13日に発表した2024年トルコ出生統計によると、イスタンブールなどの都市圏を中心に、女性が生涯に産む子供の数を表す合計特殊出生率の低下が急速に進んでいる。2024年時点でトルコの総人口は約8,566万人に達した。長年、人口増加傾向にある同国は、消費および労働を担う若年層人口が多い国といわれてきたが、近年、人口年齢層の構造が大きく変化した。

トルコの合計特殊出生率外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは2017年以降、人口維持に必要とされる2.1を下回り、年々減少をたどる一方で、2024年には過去最も低い合計特殊出生率1.48となっている。

県別外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで比較すると、イスタンブール(1.20)、アンカラ(1.15)、イズミル(1.17)などの大都市圏とトルコ西側および黒海側の県の合計特殊出生率が低い一方、シャンルウルファ(3.28)などトルコ南東部の県は高い合計特殊出生率を維持している(添付資料図参照)。

TUIKが2月に発表した2024年の住居登録基準の人口分析結果では、トルコの総人口は約8,566万人で前年比0.3%増、2007年比21.4%増と増加傾向にある。年齢層別人口でみると、「0~14歳」層の人口は前年比2.1%減、2007年比3.8%減と減少、一方、「15~64歳」層の人口は前年比0.5%増、2007年比24.9%増、「65歳以上」層の人口は前年比4.5%増、2007年比82.2%増と急速に高齢化が進んでいることがうかがえる(添付資料表参照)。

トルコの総人口は減少していないものの、合計特殊出生数が急速に低下し、人口ピラミッド外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの構造が大きく変化している。これを受け、レジェップ・タイップ・エルドアン大統領は「アナトリア(トルコのアジア部分)の人口減少は戦争よりも大きな国家存亡の脅威だ」と発言している。

また、住居や教育費を含む生活費の高騰、雇用確保の不安定さにより、若者の結婚および出産にも影響している。特に、イスタンブールなどの大都市では、家庭を持ち子供を養育するための費用が著しく上昇しているとの指摘もある(2025年2月10日記事3月26日記事参照)。

(井口南)

(トルコ)

ビジネス短信 01949ba9475ef522