学研のSTEAM教育プログラム、地場エドテックとの協業で幼稚園への導入進む

(ベトナム、ASEAN)

ホーチミン発

2025年04月15日

学研ホールディングスは2025年1月、同社のグループ会社がベトナム地場エドテック企業(注1)とともに展開するSTEAM教育(注2)プログラム「Gakken STEAM Program(GSP)」の導入が、ベトナム国内の幼稚園で累積200園を超えたと発表した。学研の取り組みについて、同社担当者に聞いた(2025年3月12日ヒアリング)。

学研は2021年11月に、ベトナムの幼児教育関連情報サイトを運営するエドテックのKiddiHub(キディハブ、本社ハノイ市)との業務提携を発表した(2021年12月3日記事参照、注3)。学研が日本で「科学実験教室」という名称で実施していたSTEAM教育プログラムを、キディハブの協力の下、ベトナム向けにローカライズし、3~6歳向けに「サイエンス」「プログラミング」「かず」のカリキュラムを提供している。指導はキディハブのコーチ、もしくはキディハブによる研修を修了した園の教員が行う。

地場幼稚園を中心に展開

学研担当者によると、導入先はインターナショナルスクールでなく、地場の幼稚園が大半を占めている。同社は、キディハブとともに、幼稚園の経営者や先生向けにオンラインでの紹介セミナーを週1、2回実施している。また、月に1回程度、オフラインでも紹介セミナーを開催しており、そこに参加した幼稚園との成約率が高いという。さらに、プログラムを受けた子供に体験した成果物(制作物など)を持ち帰ってもらうことで、保護者にも体験・学習したことが共有できる仕組みにしており、保護者からの評価・契約の継続につながっているとした。

同社によると、今後GSPで蓄積したノウハウを活用し、幼児関連事業でベトナムに進出している日系企業との提携も模索していく(2024年9月4日付学研プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。ベトナム以外の東南アジア市場でも、「強い顧客基盤を持つ優良企業」「競争優位のコンテンツを持つ優良企業」と戦略的パートナーシップを組み、パートナーとともに成長していく戦略を掲げている。

(注1)STEAMとは、「Science」(科学)、「Technology」(技術)、「Engineering」(工学)、「Art」(芸術)、「Mathematics」(数学)の頭文字を取ったもの。

(注2)エドテックとは、教育とテクノロジーの英単語を組み合わせた造語で、教育分野にイノベーションを起こす企業やビジネスの総称。

(注3)両社の協業については、ジェトロの調査レポート「ベトナムDX参入事例集 ―ベトナムDXキーパーソンに聞く―(2023年4月)」P.19~21に協業に関するインタビューを掲載。なお、学研は、キディハブとの提携のほか、2023年4月には地場教育出版企業に出資し、ベトナムをはじめ東南アジアに日本の教育コンテンツの展開を進めている(2023年4月18日記事参照)。

(三木貴博)

(ベトナム、ASEAN)

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