学研がベトナム地場教育出版企業に出資、日本の教育コンテンツを展開へ

(ベトナム、日本)

アジア大洋州課

2023年04月18日

学研ホールディングスは4月11日、ベトナムの教育出版事業を手掛けるDTP Education Solutions(DTP)と資本業務提携したと発表した。学研はDTPの株式35%を取得し、主要株主の一員として経営に参画する。DTPの公立学校を含む幅広い販売ネットワークを活用するなど、ベトナムをはじめ東南アジアに日本の教育コンテンツの展開を進める。

DTPは2003年にホーチミン市で設立された企業で、出版と英語教育事業を手掛ける。国内10カ所の営業拠点に加え、シンガポールやタイ、カンボジア、ラオスにも拠点を構える。同社によると、ベトナムの公立学校の英語教育にも参画するなど、ベトナムの英語教科書市場で3割ほどのシェアを獲得しているという。1万を超える学校・教育機関との販売ネットワークを有し、顧客は幼児から高校生まで300万人以上にわたると見込まれる。

今回の提携を通じて、学研は日本の教育コンテンツをベトナムで出版し、DTPの持つ販売ネットワークを活用して学校や書店に供給していく。また、STEAM教育(注)を中心に、学校の課外授業として、有料の学習サービスを提供していく計画だ。学研の宮原博昭社長は、日本が少子化となる中、今回の提携がベトナムを中心に東南アジアへの進出につながるとの期待を示した。将来的には、ベトナムの日本語教育分野への参入や、DTPの強みの英語教育コンテンツを日本で展開することなども視野に入れているという。

DTPのボー・ダイ・フック最高経営責任者(CEO)は「新型コロナウイルス流行下でも教育にかける費用が下がっていない」と、ベトナムの教育熱が高いことを強調した。特に、オンライン授業や電子書籍は今後伸びていくとし、学研と協力してコンテンツのデジタル化やオンライン販売も進めるという。また、STEAM教育はベトナム教育訓練省が取り入れる方針を打ち出すなど、需要が大きいと話した。

なお、学研は2022年4月に、ベトナムの幼児教育関連情報サイトを運営するKiddiHub Education Technology(キディハブ)とも資本業務提携契約を締結し、ベトナムの幼児教育の事業拡大も進めている(2021年12月3日記事参照)

(注)STEAMとは、「Science」(科学)、「Technology」(技術)、「Engineering」(工学)、「Art」(芸術)、「Mathematics」(数学)の頭文字を取ったもの。

(庄浩充)

(ベトナム、日本)

ビジネス短信 ec95a9f071a65ea7