波紋呼ぶボリッチ・チリ大統領の米国批判
(チリ、米国)
調査部米州課
2025年04月03日
インドを訪問中のチリのガブリエル・ボリッチ大統領は4月2日、米国のドナルド・トランプ大統領への批判ととれる所見を述べ、その内容を複数のメディアが報じた。ボリッチ大統領の発言の要旨はおおむね次のとおり。
- 一方的な手法による関税の賦課は、国際的な合意事項に配慮せず、WTOを通じて有効なものとなっている通商の原則を度外視し、強国が作り上げた法律を押し付けることにほかならない。
- 多国間主義、国際的に保障されている権利や法律、強国が課す法律を超えた協力を尊重する全ての国々にとっては、これまで以上の団結が必要であり、例外はない。
- 数カ月前の米国新大統領の就任式には、ジェフ・ベゾス氏、イーロン・マスク氏、マーク・ザッカーバーグ氏といった名だたる企業の代表を務める大富豪が列席し、さながら新たな皇帝が誕生したかのようだった。
インド訪問のもともとの目的は、約50人のミッション団を率いて両国の政治経済関係の強化(2025年3月27日記事参照)だったが、米国の相互関税政策の発表と同日の発言に注目が集まっている。ボリッチ大統領の発言について、生産商工連合(CPC)の代表をかつて務めたフアン・スティル氏は「ラ・テルセラ」とのインタビューで、「このような軽率な発言は、チリに対して不都合となるトランプ大統領からの何らかの反応を招く可能性があり、一国の代表者としては重大な誤りだ」と評した。
なお、米国時間4月2日にトランプ大統領は「相互関税」に関する大統領令を発表しているが、チリからの輸入品については、米東部時間4月9日午前0時1分から10%のベースライン関税が適用される(2025年4月3日記事参照)。
(佐藤竣平)
(チリ、米国)
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