WTO、米国の関税措置で2025年の世界貿易が縮小すると警告

(世界)

ジュネーブ発

2025年04月07日

WTOのンゴジ・オコンジョ=イウェアラ事務局長は4月3日、米国が同月2日に発表した措置(2025年4月3日記事参照)がもたらす深刻な影響について警告し、加盟国に自制を促す声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

WTOの推定では、今回の米国の措置と2025年初め以降に導入された措置を合わせると、同年の世界の商品貿易量は全体で約1%縮小する可能性があるとしており、これまでの前年比3%増加の予測からマイナスへの下方修正となる。オコンジョ=イウェアラ事務局長はこの下方修正と、貿易のさらなる減少につながる報復措置の連鎖を伴う関税戦争にエスカレートする可能性に深い懸念を示した。

声明で、WTO事務局は米国の措置を注意深く監視、分析しているほか、多くのWTO加盟国から連絡があり、各国の経済と世界貿易システムへの潜在的な影響についての質問に積極的に対応しているとした。

他方、世界貿易の大部分は依然としてWTOの最恵国待遇(MFN)の条件下で行われていることを指摘し、WTO事務局の推定では、MFN貿易の割合は現在74%で、2025年初には約80%だったとし、WTO 加盟国はこうした利益を守るために団結する必要があるとした。

米国による今回の規模の貿易措置は、重大な貿易転換効果を生み出す可能性があるとし、オコンジョ=イウェアラ事務局長は、貿易摩擦が激化しないよう、結果として生じる圧力に対して責任を持って管理するよう、WTO加盟国に呼びかけている。

WTOはまさにこのような瞬間に役立つように、対話のプラットフォームとして設立されており、貿易紛争の激化を防ぎ、オープンで予測可能な貿易環境を支援する機関とし、オコンジョ=イウェアラ事務局長はWTO加盟国に対し、WTOを活用して建設的に関与し、協力的な解決策を模索するよう呼びかけている。

(田中晋)

(世界)