カナダ中銀、政策金利を2.75%に据え置き、今後の利下げ予想も

(カナダ)

トロント発

2025年04月17日

カナダ中央銀行は4月16日、政策金利を2.75%に据え置くと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(政策金利レート推移参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。2024年6月から2025年3月にかけて、7期連続の利下げで、政策金利を2.25ポイント引き下げてきていた(2025年3月13日記事参照)。経済見通しを示す金融政策報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも併せて発表した。

中銀は政策金利据え置きを決定した理由として、米国の関税政策の今後の動向とその影響について、さらに多くの情報を収集するためと説明した。米国の貿易政策の方向転換と不確実性により、景気後退の見通しなどもまん延している状況から、カナダや世界のGDP成長率とインフレ率を予測することが非常に困難な状況にあると強調した。また、2025年第1四半期(1~3月)には消費・住宅投資・企業支出の落ち込みから、経済が減速したとみられるほか、雇用者数も3月に減少し、多くの企業が採用を遅らせる(2025年4月9日記事参照)など、労働市場の回復も進んでいないと分析している。4月から撤廃した消費者炭素税(2025年3月18日記事参照)や原油価格低下により、インフレ率は向こう1年で低下する見込みであるものの、関税とサプライチェーンの混乱が一部の価格を押し上げる可能性があることも指摘した。

関税の引き上げがカナダの輸出需要をどの程度減少させるか、これが企業投資や雇用、家計支出にどの程度波及するか、費用負担の増加が消費者価格にどの程度、どのくらいの速さで転嫁されるか、インフレ予測がどのように変化するかなど、カナダ経済が直面するリスクと不確実性に特に注意を払いながら、慎重に政策を進めていくとしている。

発表を受けて同じ16日、CIBCキャピタルマーケッツのマネジングディレクター兼チーフエコノミストのエイバリー・シェンフェルド氏は、4月のインフレ率が2%を下回ると予想されるため経済への下方圧力の兆候を受け、中銀は6月に0.25ポイント、7月に0.25ポイントの利下げに踏み切ると予測した。一方で、スコシアバンク・エコノミクスの副社長兼キャピタル・マーケッツ・エコノミクス責任者のデレク・ホルト氏は、4月28日に予定される総選挙(2025年3月28日記事参照)後の国内政策を網羅する次の2回分の会合期間に、問題はさらに複雑化すると予測しており「中銀は長期にわたって政策金利を据え置くとみている」と述べた。

中銀の次回の政策金利発表は6月4日に予定されている。

(井口まゆ子)

(カナダ)

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