カナダ中銀、政策金利を2.75%に引き下げ、7会合連続
(カナダ、米国)
トロント発
2025年03月13日
カナダ中央銀行(中銀)は3月12日、政策金利を0.25ポイント引き下げ、2.75%とすることを発表した(政策金利レート推移参照
)。今回で引き下げは、7会合連続(2025年2月3日記事参照)となった。
声明では、米国の関税がもたらす不確実性によって消費者の支出意欲や企業の雇用・投資計画が低迷していることから、経済活動を押し上げるべく、引き下げを決定したと説明した。過去の金利の引き下げにより、2024年第4四半期のカナダ経済は予想以上に強く、特に消費と住宅を中心に2.6%の成長を果たした。しかし、米国による絶えず変化する貿易摩擦と関税の影響により、企業が投資を延期またはキャンセルしており、消費者信頼感が大幅に低下し、企業支出が減速していることが示されているため、2025年第1四半期の経済成長は鈍化する可能性が高いと分析した。また、国内需要の減速による負の影響は、関税の導入を前に輸出が急増したことで部分的に相殺された。2024年11月~2025年1月にかけて雇用の伸びが強まり失業率は低下、2月には伸びが停滞し、貿易摩擦の激化が雇用市場の回復を妨げる可能性がある、と分析している。特に製造業、鉱業、石油・ガスなどの輸出志向産業の労働者の間で、雇用の安定に対する懸念が広まっているとしている。
ティフ・マックレム中銀総裁は「金融政策で貿易戦争の影響を相殺することはできない。金融政策ができること、またしなければならないことは、物価上昇が継続的なインフレにつながらないようにすることだ」との方針を示し、今後の政策金利について、物価・インフレともに上昇すると予想しているため、インフレの下押し圧力とコスト上昇圧力のタイミングと強さを慎重に評価し決定する見通しであると言及した。
発表を受けて同日、モントリオール銀行(BMO)のチーフエコノミスト兼マネージング・ディレクターのダグラス・ポーター氏は「カナダが長期間にわたり深刻な関税に直面し、貿易戦争による成長抑制の側面が、最終的にはインフレ上昇の影響を上回り、中銀が緩和モードを維持するだろうと予測する。そのため3回の会合でそれぞれ25ベーシスポイント(bp=0.01%)の利下げを行い2%まで下げる予想だ」とコメントした。
中銀の次回の政策金利と経済見通しを示す中銀の金融政策報告書の発表は4月16日に予定されている。
(井口まゆ子)
(カナダ、米国)
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