米ミシガン州知事、首都ワシントンで戦略的関税と超党的なアプローチの必要性を呼びかけ

(米国)

シカゴ発

2025年04月14日

米国ミシガン州のグレッチェン・ウィットマー知事(民主党)は4月9日、首都ワシントンで演説を行い、現政権によって広範囲にわたって課された関税によって、既にミシガン州の製造業にマイナスの影響が出始めているとした上で、米国での製造業の再興には戦略的な関税政策と超党派の協力が必要だと強調した。

ウィットマー氏は「公正な貿易にするべきだという関税政策の背景にある動機は理解できる。これはドナルド・トランプ大統領と私が同意するところだ」とするも、「明確な最終目標を定めることなしに、あらゆる問題を関税で解決すべきでない」とトランプ政権の関税政策を非難し、「雇用とサプライチェーンを米国に回帰させるために必要な時間と資本を軽視すべきでない」と付け加えた。また、「製造業の再興は、複数の政権にまたがる超党派のプロジェクトでなければならない」と強調し、関税については「戦略的に考え、米国内で実際に開発したい技術、あるいは既に競争優位性を持つ産業に対して関税を課すのが望ましい」との考えを示した。この演説は同日のトランプ大統領との会合の前に行われた。

ウィットマー氏は2月1日には、トランプ政権による関税政策が「経済を停滞させ、労働者層や肉体労働者の家庭に著しい打撃を与える」と関税政策に対して強く批判する声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしていた。しかし、その後米国外で生産された自動車・自動車部品に対して25%の関税が発動されることになった(2025年3月27日記事参照)にもかかわらず、公式に現政権の関税政策を非難する声明は出していなかった。ウィットマー氏の演説後のトランプ氏との直接対話が、米国の製造業、イノベーションなど共通の優先事項について、両者が歩み寄る機会となる可能性があるという報道もある(デトロイト・ニュース4月9日)。

なお、トランプ氏は4月9日、中国を除く国・地域に対する相互関税を90日間停止する一方、中国に対しては同税率を125%へ引き上げて適用を継続する大統領令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに署名した(2025年4月11日記事参照)。

(星野香織)

(米国)

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