欧州委員会、AI、サイバーセキュリティー、デジタル技能に13億ユーロ投資

(EU)

調査部欧州課

2025年04月14日

欧州委員会は3月27日、EU予算「デジタル・ヨーロッパ・プログラム(DIGITAL)」の2025~2027年作業計画の一環として、欧州にとって戦略的に重要な技術の展開に13億ユーロの投資を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

今回の柱となるのは、企業と行政による人工知能(AI)の活用、クラウドおよびデータ、サイバーセキュリティー、デジタルスキルの育成だ。

DIGITALの主な優先事項は次のとおり。

  1. 医療・介護分野を含む生成AIアプリケーションの可用性とアクセシビリティーの向上。
  2. 「仮想世界」として知られる没入型環境のテスト、AI規則の実施(2025年2月13日記事参照)、エネルギー効率の高い共通データスペースの展開に充て、生成AIモデルを開発する「AIファクトリー」(2024年2月1日記事参照)構想の実施。
  3. 欧州デジタル・イノベーション・ハブ(EDIHs)による企業や公共部門への技術的な専門知識や試験運用へのアクセス、最新技術を採用するためのアドバイス、トレーニングやスキルの提供。
  4. 気候適応と災害リスク管理を支援するための地球レベルのデジタルモデル構築。
  5. サイバーセキュリティーの強化、EUサイバーセキュリティー・リザーブ(注1)による重要インフラの回復力と安全性の向上。
  6. 新しいEUデジタルIDウォレット・アーキテクチャー(注2)と、欧州トラスト・インフラストラクチャーの促進、加盟国による採用の推進。

DIGITALの公募は4月中に開始する予定で、EU加盟国、EFTA/EEA加盟国、DIGITAL関連国の企業、行政機関、その他の団体を対象としている。

(注1)重大または大規模なサイバーセキュリティー事故が発生した場合に、加盟国やEUの機関、団体、機関の要請に応じて介入できる、信頼できるプロバイダーによる事故対応サービスで構成される。
(注2)EUデジタルIDウォレットは「欧州デジタルID枠組み規則」が規定(2023年11月13日記事参照)。同規則は2024年5月20日に施行された。EU加盟国には、国民、住民、企業に少なくとも1つのウォレットを提供し、自己証明、重要なデジタル文書の安全な保管、共有、署名を可能にする義務がある。

(坂本裕司)

(EU)

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