第1四半期のCPI上昇率は前年同期比3.22%、ドル高に警戒感
(ベトナム)
ハノイ発
2025年04月17日
ベトナム統計総局は4月6日、2025年第1四半期(1~3月)の消費者物価指数(CPI)上昇率(推計値)を前年同期比3.22%と発表した。2.87%だった前四半期(2024年10~12月)と比べ、指数が上昇した。CPI上昇率は2024年4~7月に4%を上回る水準で推移したが、エネルギー価格の高騰やドル高ドン安の一服などにより、8月は前年同月比3.45%に下落し、9~12月は2%台で推移していた(添付資料図参照)。
第1四半期のCPI上昇率を財別にみると、薬・医療は14.40%で、上昇率が最も高かった(添付資料表参照)。国による医療サービス価格の改定などが影響し、全体の指数を0.78ポイント押し上げた。次に上昇率が高かった住居(費)、建築材は5.11%だった。資材価格の上昇や電力料金の引き上げが影響し、全体の指数を0.96ポイント押し上げた。食品、飲食業は3.78%で、前四半期(4.15%)に比べて下落したが、全体の指数を1.27ポイント押し上げた。
ドル高ドン安進行も、主要政策金利は据え置きの見方
ベトナム国家銀行(中央銀行)は2023年に主要政策金利を引き下げた(2024年1月16日記事参照)。2024年は主要政策金利の調整を実施せず、2025年4月14日時点でディスカウントレート(公定歩合)は年3.0%、リファイナンスレートは年4.5%となっている。在ベトナムの金融関係者からは、同国が政策金利を当面据え置くとの予測が複数聞かれた(4月10~11日ジェトロのヒアリング)。
足元ではドル高ドン安が進行する。2025年1月~4月初めまで1ドルは2万5,000~2万5,500ドン付近で推移していたが、米国による相互関税導入の発表後、一時は史上初の2万6,000ドンに到達した。輸出減少や対内直接投資の流出懸念などが一段とドン安を加速させたとみられる。米国が相互関税の導入を90日間停止した(2025年4月10日記事参照)ことで急激な為替の変動は収まったが、しばらくはドン安傾向が続きそうだ。エネルギーや原料などの輸入価格の上昇に伴うインフレが加速する可能性があるが、国内経済の減速を避けるため、利上げにも慎重になるとみられる。
(萩原遼太朗)
(ベトナム)
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