米国の追加関税に対するトルコ経済界の反応
(トルコ、米国、中国)
イスタンブール発
2025年04月09日
4月4日付の国営アナドル通信によると、米国のドナルド・トランプ大統領が4月2日の大統領令の中で(2024年4月3日記事参照)、トルコへ最低税率10%の追加関税を課すと発表したことに対し、トルコの閣僚や経済界はさまざまな反応を示している。各要人の発言から、総じてトルコに他の国と比べて低い関税率だったことにポジティブな報道が多い。
オメル・ボラト貿易相は、トルコは高い関税を課された他国に比べ比較的恩恵を受けることになるが、5月の訪米時に同措置の撤廃について交渉する意向を表した。トルコ輸出業者協議会(TIM)のムスタファ・ギュルテペ会長は、トルコが最低税率に抑えられた点について、高い税率が課せられるアジア諸国に対しトルコは優位な立ち位置にあるものの、トルコの最大貿易相手である欧州の経済がネガティブな影響を受けることを懸念した。また、トルコのカナダ、メキシコや南米市場での新たなシェア獲得や、今回の追加関税の影響が少ない中東やアフリカ諸国の市場開拓に引き続き重点を置くとしている。トルコ海外経済関係評議会(DEIK)のナーイム・オルパク会長は、トルコと米国との総貿易額を現在の325億7,600万ドルから1,000億ドルに拡大するチャンスになるとする一方、トルコ国内外市場における、中国、EU、アジア諸国との競争が激化することを懸念した。他方、今回税率が抑えられたことにより、トルコが新たな投資先として選ばれる好機となる可能性も示した(4月3日付スターTV)。トルコ自動車・自動車部品工業会(TAYSAD)のヤクプ・ビリンジ会長は、米国の輸入自動車・同部品に関する追加関税25%(2025年4月3日記事参照)にも触れ、中国、EUと比較した優位性の一方で、第三国市場における競争激化や米国への生産拠点の移転の動きの可能性を指摘した。また、今後、トルコとして輸送コストを抑える物流システムの構築やブランド力の強化、研究開発投資の促進の重要性について発言した。
こうした中、トルコが米国向け輸出拠点として発展した場合、米国がさらなる追加関税をトルコに課すリスクがある、と指摘する報道もある。実際に、中国のソーラーパネル会社が、トルコを経由し米国へ輸出している事例において、米国当局から許可が取り消された事例もある。
トルコ統計局(TUIK)によると、トルコの2024年の国別輸出額において米国は、ドイツに次いで第2位で163億4,900万ドル、輸入額は、中国、ロシア、ドイツ、イタリアに次いで第5位の162億2,700万ドルで、1億2,200万ドルの貿易黒字を計上しているという。TIMによると、主な輸出品は、化学物質や関連製品、自動車関連製品、衣料品やじゅうたん、電気・電子機器、セメント、ガラスやセラミックス、穀物などの食料品、鋼鉄だった。
(井口南)
(トルコ、米国、中国)
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