欧州委、米国の相互関税適用延期を受け、対抗措置の適用の90日間延期を発表
(EU、米国)
ブリュッセル発
2025年04月11日
欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は4月10日、米国のEUからの鉄鋼・アルミニウム製品を対象にした追加関税(2025年3月12日記事参照)に対する対抗措置を90日間延期すると発表した(プレスリリース)。これは、米国による相互関税の適用延期の発表(2025年4月10日記事参照)を受けたものだ。同委員長は、米国の発表は国際経済の安定化に向けた重要な一歩と歓迎した上で、工業製品を対象にした関税ゼロ協定の締結など、交渉による解決に向け、米国と建設的な交渉を続ける意向を示した。一方で、交渉によって十分な結果が得られない場合、対抗措置を発動する用意があるとも述べた。
欧州委は当初、3月の米国による鉄鋼・アルミニウム製品に対する追加関税の発表を受け、対抗措置の第1弾を4月1日から、第2弾を4月13日から発動する方針を加盟国に提案していた(2025年3月14日記事参照)。欧州委はその後、米国による新たな追加関税の発表に備え、加盟国と調整する必要があるとして、対抗措置の第1弾の発動を延期し(2025年3月25日記事参照)、4月9日には、対抗措置を修正した上で4月15日から発動する方針で加盟国から賛同を得たと発表したばかりだった。
修正された対抗措置の詳細は、今回の発表時点では公表されていない。政治専門紙「ポリティコ」は、修正版の対抗措置の対象品目は欧州への輸出に強く依存する農産品や工業製品を中心に選定されており、2024年の米国大統領選挙でドナルド・トランプ大統領を支持した州が主に生産する大豆などの農産品を特に狙った構成になっていると報じている。
(吉沼啓介)
(EU、米国)
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