南アのラマポーザ大統領、新しい米国特使を任命
(南アフリカ共和国、米国)
ヨハネスブルク発
2025年04月18日
南アフリカ共和国のシリル・ラマポーザ大統領は4月14日、米国との外交および貿易関係の修復を図るため、エブラヒム・ラスール前駐米南ア大使の後任としてムセビシ・ジョナス氏を米国特使に任命した。ラマポーザ大統領は声明で、「ジョナス氏は南アの外交、貿易、2国間の優先事項を推進する責任を担う。彼は交渉を主導し、戦略的パートナーシップを育み、米国政府関係者や民間セクターのリーダーと協力してわが国の利益を促進する」と述べた。ジョナス氏は任命を受け入れ、「南アと米国の健全な関係を促進するために最善を尽す」と述べた。
ジョナス氏は元財務副大臣で、南ア最大の民間通信企業の1つであるMTNグループの現会長だ。また、同氏は2018年に南アへの投資を促進するために任命された4人の大統領投資特使の1人としても活躍していた。
2025年4月14日付「ビジネスデイ」の報道によれば、同氏は2017年に前大統領のジェイコブ・ズマ氏政権時に、政治活動からは離れていた。ズマ政権時代の汚職に関する調査をしていた国家捕獲調査委員会(通称ゾンド委員会)の報告書には、ズマ氏に近いグプタ兄弟からの6億ランド(約45億1,800万円、1ランド=約7.53円)の賄賂を拒否したという言及があり、反汚職のイメージが強い。政治アナリストのンツィケレロ・ブレックファスト氏は「彼は政治およびビジネス界での信頼性があり、南アを市場に売り込む方法を知っている」と一定の評価をしつつも、「トランプ大統領の立ち位置を変えるのは容易ではない」とコメントした。
前駐米大使のラスール氏は2025年3月、トランプ大統領に批判的な発言をしたとされ、国外追放となっていた。これに先立つ2月、トランプ氏は、南アの土地改革法が特定の階層の人々をひどく扱う差別的なものだと一方的に断じ、南アへの資金援助を停止する大統領令を発令したほか、G20外相会議や財務相・中央銀行総裁会議への閣僚派遣を見送った。トランプ政権樹立後、2国間関係は急速に冷え込んでいる。
(堀内千浪、トラスト・ムブトゥンガイ)
(南アフリカ共和国、米国)
ビジネス短信 053b6e9692012258