トランプ米大統領、日本製鉄のUSスチール買収計画についてCFIUSに審査指示
(米国、日本)
ニューヨーク発
2025年04月08日
米国のドナルド・トランプ大統領は4月7日、日本製鉄による米国鉄鋼大手USスチールの買収計画について、対米外国投資委員会(CFIUS)に審査を指示する大統領覚書を発表した。
日本製鉄とUSスチールは2023年12月、日本製鉄がUSスチールを買収することで合意したと発表した(2023年12月19日記事参照)。しかし、同計画に対して、外国企業による対米投資に伴う国家安全保障上の懸念を審査する省庁横断委員会のCFIUSが審査をし、2025年1月に当時のジョー・バイデン大統領はCFIUSの審査結果を踏まえて取り引きを禁止する行政命令を発表した(2025年1月7日記事参照)。その際、同行政命令第3条で、大統領が追加的な命令を発表する権限を留保すると規定していた。
今回の大統領覚書では、同行政命令第3条で留保された追加的措置を講じることが適切か否かの判断材料とするため、CFIUSに対して同買収計画を審査するよう指示した。CFIUSは今後、日本製鉄と同社の米国子会社、USスチールが提示する国家安全保障上のリスクの緩和措置が十分か否かなどを審査する。審査結果について、CFIUSは今回の大統領覚書の発表から45日以内に大統領に報告書を提出する。CFIUSの報告書を踏まえて、トランプ大統領が同買収計画を認めるか否かが注目される。
なお、トランプ大統領は2025年2月の石破茂首相との日米首脳会談後の記者会見で、記者から同買収計画を認めるかと問われ、「買収は望んでいないが、投資は歓迎する」などと発言していた(2025年2月10日記事参照)。日米両首脳は4月7日に電話会談を実施したが、日本政府の発表した電話会談の要旨では、同買収計画に関する記載はなかった(外務省発表、首相官邸発表
)。主に米国の関税措置について協議したもようで、石破首相はトランプ大統領に対して、米国の関税措置により日本企業の対米投資が減退することへの懸念を伝えたなどとしている。
(葛西泰介)
(米国、日本)
ビジネス短信 0226b6829c5cf94d