トランプ米政権、銅・木材輸入に対する232条調査を開始、パブコメ募集
(米国、カナダ、チリ、日本)
ニューヨーク発
2025年03月14日
米国商務省産業安全保障局(BIS)は3月10日、1962年通商拡大法232条に基づき、銅と木材・製材の輸入が米国の国家安全保障に及ぼす影響を判断するための調査を開始した。3月13日付の官報でそれぞれ正式に公示した(銅/木材・製材
)。BISは調査に関連する意見や情報について、4月1日までパブリックコメントを受け付ける(注1)。
1962年通商拡大法232条は、特定製品の輸入が米国の国家安全保障に脅威を及ぼすと商務長官が判断した場合に、追加関税などの措置を発動する権限を大統領に認めている(注2)。ドナルド・トランプ大統領は2月25日に銅について(2025年2月26日記事参照)、3月1日に木材・製材について(2025年3月3日記事参照)、それぞれ商務長官に対して232条に基づく調査開始を指示する大統領令を発令していた。
商務長官は大統領令が発表された日から270日以内に調査を完了し、米国の国家安全保障に脅威を及ぼすか否かの判断や、追加関税などの措置の提言を含めた報告書を大統領に提出する。ただし、ハワード・ラトニック商務長官が期限を待たずに調査を終える可能性も指摘される(米国通商専門誌「インサイドUSトレード」2月25日)。
官報によると、銅の調査対象は銅鉱石、銅精鉱、精製銅、銅合金、銅スクラップ、銅派生品を含むあらゆる形態の銅。木材・製材の調査対象は木材、製材、それらの派生品。なお、調査対象の関税分類番号(HTSコード)は示されていない。
米国国際貿易委員会(USITC)の貿易統計によると、銅・同製品(HTSコード74類)の米国輸入額(2024年、通関ベース)は172億ドルで、チリ(62億ドル)とカナダ(40億ドル)の2カ国が輸入額全体の6割弱を占める。木材・同製品(44類)の米国輸入額は229億ドルで、カナダ(111億ドル)が輸入額全体の半分近くを占める(添付資料表参照)。
(注1)パブリックコメントは連邦政府ウェブサイトから提出可能。案件番号は銅がBIS-2025-0010、木材・製材がBIS-2025-0011。
(注2)232条に基づく調査、報告、措置決定などの手続きの詳細は、2024年12月10日付地域・分析レポート参照。
(葛西泰介)
(米国、カナダ、チリ、日本)
ビジネス短信 769a7ff4237f83a3