米税関、232条に基づく鉄鋼・アルミ追加関税に関するFAQを随時更新
(米国)
ニューヨーク発
2025年03月28日
米国税関・国境警備局(CBP)は1964年通商拡大法232条に基づく、鉄鋼・アルミニウム製品への追加関税に関するFAQを更新し、通関実務上の情報提供を行っている。
ドナルド・トランプ大統領は2月10日、鉄鋼・アルミニウム製品に対する追加関税措置を拡大する大統領布告を発表し、派生品を新たに対象とすることなどを定めた(2025年3月17日記事参照)。この派生品の一部については、輸入申告価格に基づいて25%の追加関税を課すのではなく、当該製品が含有する鉄鋼・アルミの価格に対してのみ追加関税を課すことになっているため、これまでとは異なる通関手続きが必要となった。手続きが複雑化したため、在米日系企業からジェトロに対して、実務上の手続きに関する相談が複数寄せられている。
CBPによるFAQに基づくと(注1)、輸入される製品の鉄鋼やアルミの含有量に対し、いわゆる非課税基準額(デミニミス)が設定されていないため、鉄鋼やアルミがわずかでも含まれていれば、申告しなければならない。
また、追加関税の対象となるアルミの派生品を輸入する際、製錬・鋳造国を申告する必要があるが、他社から購入したアルミ関連製品を組み込んでいる場合など、申告者が当該アルミ関連製品の製錬・鋳造国がわからない場合がある。こうした場合は、一度、米国以外のいずれかの国で申告し、その後、正確な情報を入手した後に、申告内容の事後修正ができる。CBPはこうしたケースに対応するため、より詳細なガイダンスを発表する予定だという。
申告すべき鉄鋼やアルミの含有量の価値の計算方法は、関税評価協定(注2)に従って決定され、買い手が鉄鋼・アルミ含有物に対して行った、または行う予定の支払い(直接的または間接的なものであり、輸出国から輸入国への商品の国際輸送に付随する輸送、保険、関連サービスのために発生した費用、料金、経費を除く)の合計で、通常はインボイスに基づく価格だと記載されている。
FAQは不定期で更新されており、関連する輸入者は随時確認することが望ましい(注3)。また、CBPは追加のガイダンスを、貨物システム通達サービス(CSMS)を通じて提供するとしている。
(注1)米国で溶解・製錬・鋳造された鉄鋼・アルミを利用して他国で製造された製品は追加関税の対象にはならない。
(注2)関税評価協定は、WTOの設立協定(マラケシュ協定)に組み込まれている。米国通商代表部(USTR)や日本税関
のウェブサイト参照。
(注3)本文の記載内容は全て3月26日時点。例えば、アルミの製錬・鋳造国がわからない場合、当初はロシアと記入して200%の追加関税を払うべきとのガイダンスが記載されていたが、現在は本文のとおり、記載内容が変更されている。
(赤平大寿)
(米国)
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