米アスペン・エアロジェルズ、ジョージア州でのEV向け遮熱材工場建設を中止
(米国)
アトランタ発
2025年02月26日
断熱材の開発・製造を行う米国アスペン・エアロジェルズ(本社:マサチューセッツ州ノースボロー)は2月12日、2024年度決算報告の中で、ジョージア州ブロック郡ステーツボロ近郊で計画していた電気自動車(EV)向け特殊遮熱材工場の建設中止を発表した。
アスペンは2022年、3億2,500万ドルを投じて、ジョージア州南東部に位置するブロック郡ステーツボロ近郊で同工場を建設すると発表した(2022年4月11日記事参照)。EV需要の低迷を受け、同工場の稼働開始時期を2023年後半から後ろ倒ししていたが、2024年10月にはエネルギー省(DOE)から6億7,060万ドルを上限とする直接融資を条件付きで獲得し、2027年の稼働開始を予定していた(2024年10月22日記事参照)。今後は建設中止となった工場で使用予定だった一部設備も活用して、ロードアイランド州イーストプロビデンスの既存工場を改良・拡張する予定だ。
同社の2024年度の業績は良好だったものの、EV需要の低迷に加え、ドナルド・トランプ大統領の動向が同社の今後の業績に影響を与えると指摘する報道もある(「ビジネス・ジャーナル」2月13日)。トランプ大統領は「EVの義務化」を廃止する方針を掲げており、バイデン前政権下で施行された各種法規制に基づくEV普及策の見直しが行われることで、需要がさらに低迷する可能性がある(2025年1月24日記事参照)。また、カナダとメキシコについては延期されたものの、中国に対する追加関税の適用が開始された(2025年2月4日記事参照)。アスペンは製品の一部を複数の中国の外部委託先で製造しているほか、メキシコにも製造工場を有しており、追加関税措置の影響を受ける可能性がある。
ジョージア州ではEVやバッテリーなどに関連する投資が相次いで発表されてきたが、工場の稼働開始延期や中止の案件も出てきている。新興EVメーカーのリビアンはEV工場の生産開始を2028年に延期したほか(2024年11月29日記事参照)、蓄電用のリチウムイオンバッテリーを製造するフレイア・バッテリーは2月10日、同州での工場建設中止を発表した(2025年2月17日記事参照)。
(檀野浩規)
(米国)
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