トランプ米大統領、メキシコとカナダへの追加関税を延期する大統領令を発令、3月4日まで
(米国、メキシコ、カナダ)
ニューヨーク発
2025年02月05日
米国のドナルド・トランプ大統領は2月3日、メキシコとカナダに対する追加関税の適用開始を3月4日まで延期する大統領令をそれぞれ発令した。
トランプ氏は2月1日に、メキシコとカナダに対する追加関税の適用開始を2月4日に開始する大統領令を発令した(2025年2月3日記事参照)。その後3日にはSNS投稿を通じて、追加関税の適用開始の延期を明らかにしたが、延期後の具体的な適用開始日時は示していなかった(2025年2月4日記事参照)。
今回発令したメキシコに関する大統領令とカナダに関する大統領令
はほぼ同じ内容となる。具体的には、「メキシコ政府/カナダ政府が不法移民と違法薬物の危機の緩和を目的とした緊急措置を講じたと判断した」「これらの措置が危機を軽減し、米国南部/北部の国境にまたがる異常で深刻な脅威を解決するのに十分な措置かどうかを判断するには、さらなる時間が必要だ」として、適用開始の延期理由を説明した。
延期後の適用開始日時は、米国東部時間3月4日午前0時1分に設定し(注1)、2月1日付の大統領令に記載された適用開始日を2月4日から3月4日に置き換える。また、2月1日付の大統領令で設けていた輸送中の貨物を追加関税の適用対象から除外する例外規定(注2)を削除した。
他方で、2本の大統領令では、「不法移民および違法薬物の危機が悪化し、メキシコ政府/カナダ政府がこれらの危機を軽減するための十分な措置を講じない場合、大統領は2月1日付の大統領令に記載された追加関税を即時に実施することを含めて、状況に対処するために必要な措置を講じる」として、適用開始の延期撤回の可能性も示唆した。
ジェトロは今回の件に関して、経済産業省と共同で「米国関税措置等に伴う日本企業相談窓口」を設置し、積極的な相談対応・情報提供を行っていく。米国政府の公表資料などは添付資料参照。
(注1)米国東部時間3月4日午前0時1分以降に米国での消費を目的として輸入された、または米国での消費を目的として倉庫から出庫された貨物に適用される。
(注2)米国東部時間2月1日午前0時1分より前に積み出し港で船積みされた、または最終輸送手段に積載された輸送中の貨物は、輸入者がCBPに証明した場合、追加関税の対象から除外する例外規定が設けられていた。そのほか、2月1日付の大統領令の詳細は2025年2月4日記事参照。
(葛西泰介)
(米国、メキシコ、カナダ)
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