米上院、グリア氏のUSTR代表就任を承認

(米国)

ニューヨーク発

2025年02月27日

米国連邦議会上院は2月26日、ジェミソン・グリア氏を米国通商代表部(USTR)代表に承認した。賛成56票、反対43票、棄権1票だった。民主党議員5人が賛成票を投じた一方、共和党議員1人が反対票を投じた。

グリア氏は、トランプ政権1期目でUSTR首席補佐官を務め、中国への追加関税賦課や北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉および米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の締結で重要な役割を果たした。グリア氏は承認に向けた公聴会で、これらを「ドナルド・トランプ大統領の1期目で通商に関して達成された歴史的な実績」だと述べている(2025年2月7日記事参照)。そのほか、中国との恒久的正常貿易関係(PNTR)の修正または廃止、自由貿易協定(FTA)の特恵関税の適用対象から中国企業が生産した製品や中国製の原材料を使用した製品を除外するよう原産地規則の改定、英国、ケニア、フィリピン、インドなどとの2国間協定による市場アクセスの追求、などを支持しているとされる。

グリア氏の承認に際し、連邦議会下院で通商を所管する歳入委員会のジェイソン・スミス委員長(共和党、ミズーリ州)は「グリア氏は、USMCAや中国との第1段階の経済・貿易協定の交渉を支援するなど、数多くの実績を残しており、その経験はトランプ政権にとって非常に貴重なものとなるだろう」と称賛する声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

一方で、ロン・ワイデン上院議員(民主党、オレゴン州)は、懸念国も同盟国も区別しない一律関税の適用を主張しているとして承認に反対した(注)。民主党は、中国やロシアのような懸念国に対して、的を絞った貿易制限措置を講じることは支持しているが、カナダや欧州諸国などの同盟国にも通商上の負担を課すことは、国家安全保障が損なわれる可能性があると反対している(政治専門紙「ポリティコ」2月26日)。

なお、トランプ大統領は2月18日に承認されたハワード・ラトニック商務長官(2025年2月20日記事参照)を2024年11月に指名した際、USTRに対して直接的な責任を持ち、関税と通商政策を主導すると述べた(2024年11月20日記事参照)。今後は通商政策を巡る、グリア氏とラトニック氏の関係性が注目される。

(注)トランプ大統領の関税政策の特徴は、2025年1月15日付地域・分析レポート参照

(赤平大寿)

(米国)

ビジネス短信 4e279cb978f0fd65