デリー首都圏の大気汚染対策、適用措置「ステージ2」に引き上げ

インドのデリー首都圏と周辺地域の大気汚染対策を所管する大気質管理局（CAQM）は10月21日、デリーの空気質指数（AQI）が悪化したことを受け、首都圏の大気汚染対策として「行動計画（GRAP、2024年9月改定）」のステージ2（AQI301～400）に引き上げ、各種措置を即時適用する通達を発出した。

ステージ2の対策の主な措置は次のとおり。

• 建設現場での防じん対策に対する検査強化
• 発電機など電力代替設備の使用を抑制するための電力安定供給の保障
• ディーゼル発電機使用規制の厳格な適用（第76号指令2023年10月6日記事参照）
• 私有車利用の抑制を目的とした駐車料金値上げ
• 圧縮天然ガス（CNG）・電動バスやメトロ（地下鉄）の増便・運行頻度の向上
• 道路への散水（混雑時を除く）

GRAPはデリー首都圏の大気汚染対策の一環として、CAQMが2022年10月に導入した段階的な各種措置だ。デリーのAQI水準に応じ、首都圏での行動規制をステージ1（AQI201～300）、ステージ2（同301～400）、ステージ3（同401～450）、ステージ4（同450超）の4段階で課す内容で、GRAP適用の有無やステージはCAQMが随時決定する。

首都圏の大気汚染は例年、秋から冬にかけて悪化し、前回のGRAP適用期間は2023年10月6日～2024年2月27日と約5カ月間にわたった（2024年2月29日記事参照）。CAQMは10月に入ってGRAPの一部改定を実施するとともに、今期初となるステージ1の適用を同月15日から開始していた。

大気汚染のさらなる悪化によって今後、ステージ3が適用となった場合、公共施設、医療施設以外の建設工事は原則として操業停止となるほか、デリー準州内やハリヤナ州グルグラム（旧グルガオン）、ウッタル・プラデシュ州ノイダなど各地域で、対象車両（注）の走行規制が課されることになる。さらに、ステージ4に移行した場合には、公共施設を含めた建設工事が全面的に操業停止となることに加え、デリー準州内でディーゼルエンジンの中型・大型貨物車の走行が生活必需品を運搬する場合などを除いて原則禁止となる。

（注）走行規制対象となる車両は、古い排ガス規制基準を基にしたガソリン（BS-III）、ディーゼル（BS-IV）の乗用車。国内の自動車排出ガス規制BS（バーラト・ステージ）はEUによる同種規制を基にしており、BS-IIIは2005年以降、BS-IVは2010年以降に順次導入された。現行の最新基準のBS-VIは2018年以降導入。

（サンディープ・シン）