デリー首都圏における発電機の使用規制を一部緩和

(インド)

ニューデリー発

2023年10月06日

インドのデリー首都圏・周辺地域の大気汚染対策を所管する大気質管理局(CAQM)は9月29日、新たに発出した2023年9月29日付通達76号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)において、同地域における停電時のディーゼル発電機使用規制を一部緩和した。CAQMは同地域の大気汚染対策の一環として、2023年6月2日付通達73号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)において停電時のディーゼル発電機使用を原則的にデュアルモード(天然ガス混焼)へ変更し、RECD装置(外付け排ガス制御装置)の装着を義務付けている(2023年6月12日記事参照)。しかし産業界、業界団体などからRECD装置の供給不足やガス供給会社のインフラ整備・供給体制整備遅延などの指摘があったことを踏まえ、今回の緩和で対応可能な内容に条件が見直された。

停電時に運転できる発電機の新たな使用条件は添付資料表のとおり。主な緩和内容としては、(1)出力800キロワット(kW)以上の発電機に対し、通達76号記載の排気基準準拠を条件に「行動計画:GRAP(注)」対象期間も含め使用時間制限を撤廃、(2)出力125kW以上800kW未満の発電機については、従来「デュアルモード変更」かつ「RECD装置装着」が義務付けられていたが、今回の通達では「デュアルモード変更」あるいは「RECD装置装着」に緩和、(3)出力19kW以上125kW未満の発電機は必須のデュアルモード運転条件の使用時間制限を撤廃、などが挙げられる。

デリー首都圏に工場を持つ日系企業は、通達73号順守のため、既存ディーゼル発電機のデュアルモードへの変更やRECD装置装着、ガス供給会社との供給契約など準備を進めているものの、業者による納期遅延などで施行日(2023年10月1日)に間に合わないという声も多数上がっていた。こうした状況に直面していた企業は、今回の緩和措置で猶予を得たかたちとなる。

なお、通達76号において、デリー首都圏・周辺地域の医療、鉄道、空港など、同通達の規定する「緊急サービス」に対しては、一時的措置として2023年12月31日まで全ての出力のディーゼル発電機使用を認めることが付記されている。

(注)首都圏の大気汚染対策の一環として、空気質指数(AQI)の水準に応じた段階的な各種規制。

(波多野知行)

(インド)

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