EUとシンガポール、デジタルパートナーシップに署名

(シンガポール、EU)

シンガポール発

2023年02月03日

シンガポールのS・イスラワン貿易担当相と欧州委員会(EC)のティエリー・ブルトン委員(域内市場担当)は2月1日、EUシンガポール・デジタルパートナーシップ(EUSDP)に署名した(注)。2022年12月にはEUSDPの実質合意が発表されていた(2022年12月20日記事参照)。

EUSDPでは、強化されたデジタル協力のための優先分野として、(1)デジタル貿易、(2)デジタル連結性、(3)5G(第5世代移動通信システム)およびBeyond 5G技術、(4)データ、(5)サイバーセキュリティー、(6)半導体のグローバルなサプライチェーン、(7)人工知能(AI)、(8)オンラインプラットフォーム、(9)トラストサービス、(10)金融分野におけるデジタル化、(11)中小企業のデジタルトランスフォーメーションの促進、(12)労働者・ICT専門家・女性のためのデジタル技能を含む、デジタル教育・演習分野、(13)任意規格・強制規格・適合性評価手続き(STRACAP)があがっている。

また、EUSDPの最初の成果として、イスワラン貿易担当相とバルディス・ドムブロウスキスEC上級副委員長兼貿易担当欧州委員は、EUシンガポール・デジタル貿易原則に署名した。越境デジタル貿易を行う企業の予測可能性および法的確実性の確保、安全かつ安心なオンライン環境と競争可能な市場の醸成、貿易と投資の流れに有害な影響を及ぼすデジタル貿易に対する不当な障壁の除去・防止のための重要な手段として、デジタル貿易原則の内容を共通認識として確認した。

デジタル貿易原則は大きく、(1)デジタル貿易円滑化、(2)データガバナンス、(3)消費者の信頼、(4)企業の信頼、(5)デジタル貿易に関する協力、に分かれている。これらのうち、(1)デジタル貿易円滑化では、ペーパーレス取引、シングルウィンドウ、電子取引の枠組みおよび電子契約、電子認証および電子署名、電子インボイス、電子的移転可能記録および貨物輸送に関する情報、関税、STRACAP、(2)データガバナンスでは、信頼性のある自由なデータ流通、政府の公開されたデータ、(3)消費者の信頼では、オンライン消費者保護、要求されていない商業上の電子メセージ、オンラインの安全、(4)企業の信頼では、開かれたインターネットアクセス、サイバーセキュリティー、ソースコード、暗号を利用したICT(情報通信技術)製品、AIについて言及している。

(注)EUSDP関連資料は、シンガポール貿易産業省ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、欧州委員会ウェブサイト(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます原文外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照。

(朝倉啓介)

(シンガポール、EU)

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