ベンガルール空港、スマートフォン輸出伸長も部材輸入は高止まり
(インド)
ベンガルール発
2024年07月22日
インド南部のベンガルール国際空港からの輸出は、スマートフォンを主軸に依然として好調だが(2024年7月12日記事参照)、それらを生産するための部材輸入額が高止まりしており、同空港利用の貿易収支は赤字が続いている。
ベンガルール国際空港の輸出入の推移(添付資料表1参照)をみると、2023年は輸出が69億7,700万ドルであるのに対し、輸入は113億7,200万ドルで、貿易収支は43億9,500万ドルの赤字となっている。この傾向は南インド地域でスマートフォンの生産が本格化して以降強まっており、現在もその状況が続いている。
2023年の同空港の品目別輸出入(添付資料表2参照)では、輸出全体(69億7,700万ドル)のうち、「携帯電話・その他の機器(HSコード:8517)」が19億5,500万ドル(構成比28%)に上り、うち「スマートフォン(完成品、HSコード:851713)」が17億3,600万ドルと大半を占める。一方、輸入も「携帯電話・その他の機器(HSコード:8517)」が19億1,500万ドル(構成比16.8%)に上るが、うち完成品であるスマートフォンの輸入は1億4,000万ドルのみで、「スマートフォンを生産するための部品(HSコード:851779)」が11億9,900万ドルと6割以上を占め、そのうち中国からの輸入が8割弱を占めている状態だ。
インド政府は製造業振興策「メーク・イン・インディア」を掲げ、インド国内の現地調達比率を高めることに注力しているが、現状、スマートフォンの生産においては、部材のほとんどを中国を中心とする海外からの輸入に依存している状況だ。
インドでは現在、分野ごとの適格基準を満たせば、新規工場を設立した製造業企業に対し、売上高の増加額などに応じてインセンティブ(補助金)を支給する生産連動型奨励策(PLI)が拡大傾向にある(2024年7月12日記事参照)。加えて、各州も産業分野ごとに独自のインセンティブを付与する動きが加速しており、スマートフォンの生産に必要となる各種部材については、今後も海外企業に対する投資誘致が熱を帯びる分野となりそうだ。
(水谷俊博)
(インド)
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