米下院中国特別委、重要鉱物に関する政策作業部会を立ち上げ
(米国、中国)
調査部米州課
2024年06月20日
米国連邦議会下院の「米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会(中国特別委)」のジョン・ムーレナー委員長(共和党、ミシガン州)とラジャ・クリシュナムルティ少数党筆頭理事(民主党、イリノイ州)は6月18日、重要鉱物に関する政策作業部会を立ち上げたと発表した。
中国共産党による重要鉱物サプライチェーンの支配に対抗することが目的としている。作業部会では、中国特別委に所属するロブ・ウィットマン議員(共和党、バージニア州)とキャシー・キャスター議員(民主党、フロリダ州)がトップを務め、そのほか超党派で5人の議員が参加する。具体的な活動としては、重要鉱物の中国依存を打開するための国内投資や規制改革、税優遇などに関する法案の作成や、中国共産党による支配の実態に関してイベントなどを通じ注意喚起を行っていく。また、中国特別委が2023年12月に発表した対中政策提言に関する報告書を踏まえた活動を志向するとしている(2023年12月15日記事参照)。
ムーレナー委員長は、重要鉱物があらゆる産業分野の基盤になると指摘した上で、中国共産党はその支配力を武器としてガリウムやゲルマニウム、黒鉛などの輸出規制を導入していると懸念を示した。米国は既に、国内投資促進のためのインフレ削減法(IRA)などで、中国を含む懸念国が関わる原材料・部品などを排除する仕組みを導入したり(2024年5月15日記事参照)、重要鉱物に関するサプライチェーン強靭(きょうじん)化のための同盟・友好国との協力枠組み(注)を推進したりするなど、さまざまな取り組みを進めている。今回立ち上げた作業部会を起点に、新たな取り組みが出てくるか注目だ。
(注)例えば、多国間では米国が主導するインド太平洋経済枠組み(IPEF)で、重要鉱物対話の枠組みを創設している(2023年11月21日記事参照)。2国間でも日本(2023年12月18日記事参照)をはじめ、オーストラリア(2024年6月7日記事参照)やインド(2024年1月18日記事参照)などと協力関係を強化している。
(磯部真一)
(米国、中国)
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