2023年の日中貿易は2桁減、輸出と輸入がともに減少

(中国、日本)

調査部中国北アジア課

2024年06月13日

ジェトロが日本の財務省貿易統計と中国の海関(税関)統計を基に、2023年の日中貿易を双方輸入ベースでみたところ、貿易総額は前年比10.4%減の3,347億974万ドルだった(添付資料表参照、注1、2)。過去最高の2021年から2年連続の減少となった(詳細な情報は2024年6月3日付地域・分析レポート2024年6月3日付地域・分析レポート参照)。2023年に中国の実質GDP成長率は5.2%と2022年より2.2ポイント上昇したが、不動産市場の低迷、民間投資の不振、消費意欲の低迷がみられた。また、日本も、景気は緩やかな回復局面にあったものの、消費や投資に力強さを欠いた。こうした両国の状況などが減少の背景と考えられる。

2023年の日本の対中輸出(中国の対日輸入)は前年比13.0%減の1,608億2,283万ドル。2021年に2,000億ドルを超え過去最高となって以降、2年連続で2桁の減少だった。

HSコードの2桁分類で上位4品目をみると、1位は電気機器(第85類)で、前年比12.4%減の440億238万ドル(構成比27.4%、寄与度マイナス3.4)。同類全体の47.2%を占める集積回路(8542項)は、3.3%増の207億7,704万ドルで寄与度は0.4となった。2位は機械類(第84類)で、7.8%減の340億2,804万ドル(構成比21.2%、寄与度マイナス1.6)。同類全体の33.6%を占める半導体、集積回路またはフラットディスプレイの製造用機器(8486項)が、6.6%増の114億4,231万ドルとなり、大幅減だった2022年からは回復した。3位は車両(第87類)で、22.3%減の121億1,998万ドル(構成比7.5%、寄与度マイナス1.9)となった。乗用車(8703項)は、18.1%減の79億4,597万ドルとなり、前年から一転して大幅減となった。自動車部品(8708項)も、31.2%減の38億6,625万ドルとなった。4位は精密機器および医療用機器(第90類)で、12.9%減の121億662万ドル(構成比7.5%、寄与度マイナス1.0)だった。

2023年の日本の中国からの輸入は前年比7.9%減の1,738億8,691万ドルと2020年以来の減少となった。2022年は、2012年をわずかに上回り過去最高を記録していた。

HSコードの2桁分類で上位4品目をみると、1位は電気機器(第85類)で、前年比4.7%減の508億7,764万ドル(構成比29.3%、寄与度マイナス1.3)。同類全体の39.1%を占める電話機(8517項)が、1.8%減の198億7,547万ドルとなった。2位は機械類(第84類)で、10.0%減の304億5,739万ドル(構成比17.5%、寄与度マイナス1.8)。同類全体の37.4%を占める自動データ処理機械(8471)が、16.0%減の113億9,686万ドルと3年連続の減少となった。3位は衣類・同付属品(第61類)で、12.1%減の65億7,275万ドル(構成比3.8%、寄与度マイナス0.5)、4位は玩具、遊戯用具および運動用具(第95類)で、1.7%増の58億915万ドル(構成比3.3%、寄与度0.1)だった。

なお、日本の中国に対する貿易収支は、2022年に続いて輸入超過になり、130億6,408万ドルの赤字だった。

(注1)この分析は、日本の対中輸出を中国の輸入統計でみる「双方輸入ベース」となっている。貿易統計は輸出を仕向け地主義、輸入を原産地主義で計上しており、香港経由の対中輸出(仕向け地を香港としている財)が日本の統計では対中輸出に計上されない。他方で、中国の輸入統計には日本を原産とする財が全て計上されていることから、日中間の貿易は、両国の輸入統計で確認することで最も実態に近くなると考えられる。このため、日本の対中輸出は中国の通関統計による対日輸入を、対中輸入は日本の財務省統計による対中輸入を使用した。いずれも貿易データベースGlobal Trade Atlasがドル換算した数値を用いている。

(注2)財務省貿易統計の円ベース(確々報、2024年3月13日)では、日中貿易総額が42兆1,836億円(前年比3.8%減)。うち、輸出(日本の対中輸出)が17兆7,641億円(6.5%減)、輸入が24兆4,196億円(1.7%減)だった。なお、財務省の2024年1月30日付の発表によると、2023年下半期の日本の対中貿易における取引通貨の比率は、輸出では、円が45.8%、ドルが42.3%。輸入では、ドルが72.5%、円が19.1%となった。

(宗金建志)

(中国、日本)

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