米商務省、232条鉄鋼・アルミ関税の適用除外対象品目を削減

(米国)

ニューヨーク発

2024年05月21日

米国商務省産業安全保障局(BIS)は5月17日、1962年通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミニウム製品への追加関税(232条関税)の適用除外対象品目を削減する最終規則を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。5月20日付官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公示し、同規則は7月1日から有効となる。

BISは今回発表した最終規則で、輸入者からの申請なく追加関税の適用除外を認めていた「一括承認除外(General Approved Exclusions、GAEs)」の対象を現在の93品目から、81品目に削減する(添付資料表参照)。削減される12品目(鉄鋼6品目、アルミ6品目)の米国関税分類番号(HTSコード)は次のとおり。

  • 鉄鋼:7211296080、7209900000、7216330090、7209270000、7216100010、7208380015。
  • アルミ:7609000000、7604210010、7604291010、7601209080、7607116010、7604295090。

232条関税は、2018年3月に米国が全貿易相手国からの鉄鋼・アルミ製品の輸入に対して賦課を開始した追加関税だ。鉄鋼製品は25%、アルミ製品は10%の追加関税が賦課されている。ただし、一部の国・地域からの輸入に対しては適用除外・数量割当・関税割当(注)が設けられている。また、米国内で十分に生産がされていない製品や、国家安全保障上の考慮を要する製品については、輸入者からの申請に基づく品目別の適用除外制度が設けられている。BISは、適用除外制度の効率化を目的に、2020年12月に申請不要で適用除外を認めるGAEsの123品目を指定した(2020年12月21日記事参照)。2021年12月には、うち30品目が削減されていた(2021年12月9日記事参照)。

BISは、2023年8月に適用除外制度に関する規則案を公表し、パブリックコメントを募集していた(2023年8月31日記事参照)。BISは、約100件のコメントを受け取ったとしており、GAEsによって「232条関税を免除された膨大な量のアルミニウム押出材の輸入が、再び米国製の押出材と直接かつ不公正に競争できるようになった」とのコメントを紹介している。商務省で輸出管理を所管するテア・ケンドラー次官補はプレスリリースで、「最終規則の変更は、綿密な分析とパブリックコメントに基づくものであり、適用除外制度が、国際貿易と国内生産能力の力学の変化に対応した強固なものであることを保証する 」と述べている。

(注)対象国・地域は次のとおり。

  • 鉄鋼の適用除外:オーストラリア、カナダ、メキシコ
  • 鉄鋼の数量割当:アルゼンチン、ブラジル、韓国
  • アルミの適用除外:オーストラリア、カナダ、メキシコ
  • アルミの数量割当:アルゼンチン
  • 鉄鋼・アルミの関税割当:EU、英国
  • 鉄鋼の関税割当:日本

(葛西泰介)

(米国)

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