米商務省、232条鉄鋼・アルミ関税の適用除外制度の変更を提案、パブコメ募集

(米国)

ニューヨーク発

2023年08月31日

米国商務省産業安全保障局(BIS)は8月28日、1962年通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミニウム製品輸入への追加関税(232条関税)に対する適用除外制度について、申請手続きなどを一部変更する規則案を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同日付の官報で公示外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、規則案に関するパブリックコメントを10月12日まで募集する(注1)。

BISは2022年2~3月に適用除外制度の改善に関してパブコメを募集しており、今回の規則案はそこで受け付けたコメントに対応するもの(2022年2月10日記事参照)。規則案は適用除外制度に4つの変更を加える内容で、BISはこれらの変更によって、より透明性のある、公正で効率的な制度を作るとしている。概要は次のとおり。

  1. 一括承認除外(GAE、注2)の基準変更:現在は「反対意見が提示されなかった品目」となっている基準を「反対意見が認められる割合が非常に低い品目」に変更する。反対意見の有無に最も重点を置いている現在の基準を変更することで、特定のGAEの阻止だけを目的とする反対意見を抑止し、BISと産業界の不必要な負担を減らすことが狙い。
  2. 「一括否認除外(GDE)」の導入:反対意見が認められる割合が非常に高い品目(適用除外が認められる割合が非常に低い品目)について、輸入者からの適用除外申請を認めない仕組みを新設する。GDEは無期限に有効だが、BISはいつでも対象品目の削除・修正・追加が可能。
  3. 適用除外申請の要件追加:適用除外を申請する品目について、申請者が米国内および232条関税の代替措置で合意した国・地域(注3)からの調達を試みたこと(それでも調達が困難であったこと)を証明する証拠を提出するよう新たに求める。調達に関する証拠は適用除外の申請日から過去12カ月以内に行われたものでなければならず、調達に関する証拠が申請時に提出されない場合、申請は却下される。
  4. 適用除外申請に対する反対意見提示の要件追加:適用除外に反対する品目について、反対意見の提示者が同等の品質・量の製品を適用除外の申請者に直ちに提供する意思と能力があることを証明するよう新たに求める。反対意見の提示者が過去12カ月に同等の製品を販売した証拠などを提出しない場合、反対意見は却下される。

BISはこれらの制度変更に関し、GAEの基準の明確化やGDEのプロセス創設、適用除外の申請者や反対者が提出すべき証拠の形式や内容などについてコメントを求めるとしている。BISは提出されたコメントに基づいて、最終規則を公表する予定だ。

(注1)連邦政府ポータルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(ドケット番号:BIS-2023-0021または規則特定番号:0694-AJ27)へのオンライン提出が可能。

(注2)これまでに米国内メーカーなどから反対意見が提示されなかった除外申請品目をリスト化し、輸入者からの個別の申請なく、無期限で追加関税の適用除外を認める仕組み。BISは2020年12月にGAEを導入した後、2021年12月に対象品目を減らしている(2021年12月9日記事参照)。

(注3)対象国・地域は次のとおり。

  • 鉄鋼の適用除外:オーストラリア、カナダ、メキシコ
  • 鉄鋼の数量割り当て:アルゼンチン、ブラジル、韓国
  • アルミの適用除外:オーストラリア、カナダ、メキシコ
  • アルミの数量割り当て:アルゼンチン
  • 鉄鋼・アルミの関税割り当て:EU、英国
  • 鉄鋼の関税割り当て:日本

(甲斐野裕之)

(米国)

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