タイ輸出支援プラットフォーム、「タイ向け食品輸出の実務」レポート公表

(タイ、日本)

バンコク発

2024年05月15日

タイ輸出支援プラットフォームは3月29日、「タイ向け食品輸出の実務~先行企業の活動事例集~」レポートを取りまとめ、公表した。

5月2日付の農林水産省の発表によると、2024年1月~3月の日本からタイへの農林水産物・食品の輸出額外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは136億円で、前年同期比17.8%増と順調に伸びており、1月~3月の累計では輸出先第7位と、2023年1~12月の第8位から1つ順位を上げている。一方で、特に首都バンコクは成熟市場になりつつあり、日本産食品の間での競争も生じる中で、さらなる輸出拡大に向けては新たな切り口での取り組みが求められる。このため、本レポートでは、先行企業の活動事例を含め、取り組みのヒントになる事項を集約したものだ。

レポートは、輸入卸売業者・小売店および飲食店から(1)タイにおける日本産食品の流通状況、(2)タイにおける業界ごとのプロモーション方法、(3)日本企業への要望、(4)タイ食品輸入規制への対応事例について、聞き取り調査を行った「ヒアリング調査編」と、バンコクとバンコク近郊、北部、東北部、南部の消費者に対して食生活や嗜好などに関するアンケート調査を行った「アンケート調査編」から構成されている。

「ヒアリング調査」では、次のことが明らかとなった。

  • 輸入卸売業者からは、小売店や飲食店で商品が採用されるために賞味期限全体の70~80%が残っていることが求められる。
  • 小売店で行われているプロモーションとして、バレンタインデーやソンクラーン(タイ正月)などに行われる季節プロモーション、Buy1 Get1(1つ買うと1つ無料)など少なくとも7つのパターンが確認された。
  • 輸入卸売業者などは日本側のサプライヤーに対し、商談会や展示会への参加、取引先への営業同行、営業スタッフへの研修などを求めている。

日本側のサプライヤーはこれらの商習慣などを理解し、対応していくことが重要だ。

また、「アンケート調査編」では、次のことが明らかとなった。

  • 自炊の頻度は、バンコク、バンコク近郊、地方の順に高くなる。炊飯器はタイ全土で普及している一方、地方での電子レンジ普及はバンコクやバンコク近郊ほどしていない。
  • 地域ごとに購入頻度が高いとされる品目の順位が大きく異なっている。バンコクの上位3品目はしょうゆ、カレーのルー、日本米という順位になっているが、地方ではカレーのルー、サラダドレッシング、インスタントラーメンの順になっている。
  • 日本食の材料を選ぶポイントは、バンコクとバンコク近郊では1位が「味がおいしいこと」、2位が「価格が高過ぎないこと」だが、その他の地方では「価格が高過ぎないこと」の方が上位になっている。

タイの地方で日本産食品を提案していく際には、その地域の消費者ニーズや、日本産食品に関する経験・知識を理解した上で、適した販売商品を選択し、プロモーションなどを実施することが重要になる。

なお、2023年度のタイ輸出支援プラットフォームでは、他に次のレポートを公表している。

  1. タイにおける食品の模倣品等対策調査:タイ国内の模倣品被害を防止するための事前の防御策、被害が発生した場合の事後の対抗策について、知的財産権に基づく対策と知的財産権以外の対策の両面から解説している。模倣品などの対策については専用ウェブサイトも参照。
  2. タイにおける食品輸入規制及び手続等ガイドブック:3月時点までの規制にかかる最新の保健省告示などを反映し、タイ側の輸入規制と日本からの輸出に必要な手続きを記載している。

(忠田𠮷弘、谷口裕基)

(タイ、日本)

ビジネス短信 bc85d92246166035