習国家主席がロシア外相と会談、中国は「5つの終始一貫」を提唱

(中国、ロシア、ウクライナ)

北京発

2024年04月16日

中国の習近平国家主席は4月9日、北京市でロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と会談を行った。

習国家主席は2024年が両国の国交樹立75周年であることを取り上げ、中国とロシアは大国かつ隣国として、良好な関係で協力・ウィンウィンという新たな道を切り開き、国際的な公平と正義に知恵と力を与えてきたと評価した。

また、ウラジーミル・プーチン大統領との間で、密接な交流継続と、両国関係の安定した前向きな発展に同意しているとした。

その他、BRICS、上海協力機構(SCO)などの多角的な戦略的協力を強化し、平等、開放、透明、包摂の精神で「グローバルサウス」の国々の団結に責任を負い、グローバルガバナンスの変革を推進し、人類運命共同体の建設を牽引したいとした。

中国側の発表では、ラブロフ外相は、ロシア外交の優先事項は対中関係を全面的に確かなものにすることだと述べ、プーチン大統領の再選は両国関係の連続性を保証するものだとした。

同日に中国外交トップの王毅・共産党中央政治局委員兼外交部長(外相)もラブロフ外相と会談した。会談後の共同記者会見で王外相は、両国関係をさらに確かなものとするため、双方が終始一貫して(1)首脳外交の戦略的な導きを順守する、(2)「同盟を組まず、対抗せず、第三者に向けず」という原則を堅持する、(3)原則的な是非に関して正しい道を堅持する、(4)協力の中で広く行き渡る利益とウィンウィンを追求する、(5)平等で秩序ある世界の多極化を推進するという、「5つの終始一貫」が必要だとした。

このうち、(3)では、同盟を結ばない国同士の交流の新たな道をつなぎ、冷戦思考や分裂・対抗の扇動に反対するとした。(4)では、ユニラテラリズムや保護主義、「デカップリング」などに反対し、国際的な産業チェーン・サプライチェーンを維持するとした。(5)では、大国と小国の平等を堅持し、国際関係の民主化を推進すべきとした。

また、王外相はウクライナ問題について、中国は「四つのすべきこと」(注1)を順守するとともに、ロシア・ウクライナが参加する国際会議で和平案を議論することを支持するとした(注2)。

中国国際問題研究院ユーラシア所の李自国所長は、中ロ関係を曲解している国もあるとし、「同盟を組まず、対抗せず、第三者に向けず」の原則を再度述べたことは、客観的・理性的に中ロの協力を見る助けになると評価した(「中国新聞網」4月10日)。

(注1)(1)各国の主権と領土保全を尊重すべき、(2)国連憲章の目的と原則を順守すべき、(3)各国の安全保障上の合理的な懸念を重んじるべき、(4)危機の平和的解決に資するあらゆる努力を支持すべきという4点。その他のウクライナ問題についての中国の立場は2022年2月28日記事2023年2月28日記事2024年2月28日記事を参照。

(注2)王外相はパレスチナでの軍事衝突についても言及し、無条件かつ恒久的な停戦を実現するとともに、パレスチナの国連正式加盟と国家設立を認めるべきだとした。パレスチナでの軍事衝突に関する中国の立場は2023年12月1日記事を参照。

(河野円洋)

(中国、ロシア、ウクライナ)

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