中国、パレスチナでの軍事衝突についてポジションペーパー発表

(中国、イスラエル、パレスチナ)

北京発

2023年12月01日

中国外交部は11月30日、「パレスチナとイスラエルの衝突解決に関するポジションペーパー外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した(注1)。

ポジションペーパーでは、今回のパレスチナとイスラエルの軍事衝突により、多くの民間人が死傷し、重大な人道的被害がもたらされているとの認識を示した。

その上で、これまで習近平国家主席は中国の原則的立場として、即時停戦と人道支援ルートの安全保障、衝突の拡大防止を強調し、根本的な解決方法として「二国家解決」(注2)を実行し、パレスチナ問題の全面的、公正、永続的な解決を推進すべきと、繰り返し述べてきたとしている。

また、国連安全保障理事会に対して、「国連憲章」に基づいて国際平和と安全を守るという責任を果たし、パレスチナ・イスラエル問題に関して積極的かつ建設的な役割を発揮すべきとした。その上で、中国は(1)全面的な即時停戦、(2)民間人の確実な保護、(3)人道支援の確保、(4)外交面での調停強化、(5)政治的解決の追求の5点を提起した。

(1)では、安全保障理事会決議第2712号(2023年11月17日記事参照)に加え、国際社会の普遍的な声に応え、さらに明確に全面的な停戦を求める必要があるとした。(2)では、さらに明確にパレスチナ民間人の強制移住に反対し、人質解放を訴える必要があるとした。(3)では、パレスチナ自治区ガザ地区に対して生存に不可欠な品物とサービスの提供を確保するとともに、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の人道支援に協調的作用を発揮し、国際社会による復興準備を推進すべきとした。

(4)では、当事者に影響力のある国に対して、客観的で公正な立場を保ち、事態の収束に共同で建設的な役割を発揮するよう奨励すべきとした。(5)では、二国家解決により、パレスチナ民族の合法的な権利を回復し、完全な主権と独立を有するパレスチナ国家を建設することが根本的な解決の方法だとした。その上で、二国家解決への具体的なタイムスケジュールとロードマップを定め、ガザ地区の将来についてはパレスチナ人の意思と自主的な選択を尊重すべきとした。

なお、習国家主席は11月29日の「パレスチナ人民連帯国際デー」への祝電で、「パレスチナ問題は中東問題の核心であり、国際的な公平と正義にかかわる」として、中国は一貫してパレスチナ国家の成立を支援していると述べている。

(注1)ポジションペーパー内で、中国は「ハマスとイスラエル」の衝突ではなく、「パレスチナとイスラエル」の衝突と表現している。

(注2)イスラエルとともに共存共栄するパレスチナ国家を建設すること。

(河野円洋)

(中国、イスラエル、パレスチナ)

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