日本のバイオエタノール利用増を促す意向、米USTR2024年外国貿易障壁報告書(日本編)

(米国、日本)

調査部米州課

2024年04月10日

米国通商代表部(USTR)は3月29日に公開した2024年版「外国貿易障壁報告書(NTE)」(2024年4月2日記事参照)で、日本に関し、貿易協定、輸入政策、衛生植物検疫(SPS)措置、政府調達、知的財産保護、サービス分野の障壁、補助金の各分野について報告した。前年の報告書(2023年4月10日記事参照)で取り上げた貿易の技術的障壁(TBT)、デジタル貿易障壁、非競争的慣行の3分野には言及しなかった。全体の記述量は、前年の13ページから10ページに減った。

貿易協定に関しては、2023年3月に署名、発効した日米重要鉱物サプライチェーン強化協定が重要鉱物の供給網を強化・多様化し、電気自動車(EV)バッテリー技術の採用を促進すると期待を示した(2023年3月29日記事参照)。同協定は、重要鉱物分野の貿易における公正な競争や労働・環境に関わる取り組みを促進するという日米共通のコミットメントを具体化するものだ、と指摘した。また、2国間の貿易上の懸念事項を伝える場として、日米通商協力枠組み(2023年12月18日記事参照)を今後も活用していくと記した。

輸入政策では、日本が2023年4月にバイオエタノール利用に関する基準を改定し、米国からの輸入量の上限を年間利用目標(原油換算で50万キロリットル)の66%から100%に引き上げたと評価した。一方、年間利用目標を増やすよう日本に促し続けるとした。

SPS措置については、前年に続いて食品衛生基準行政を取り上げた。2024年4月に食品衛生基準行政が厚生労働省から消費者庁に移管された一方、輸入食品を含めた食品衛生監視行政は引き続き厚生労働省が担うとした上で、科学的根拠に基づく規制と日本への食品輸出における公平な競争条件を確保するため、関連規則の実施を注視していくと明記した。

その他の障壁では、自動運転などに用いる狭域通信システムの日本独自の周波数割り当てなどを挙げた。周波数割り当てに関する懸念は、前年の報告書ではサービス分野の通信関連の障壁に含めていたが、今回は記載場所を変更して自動車関連の障壁の一部として位置付けている。

(甲斐野裕之)

(米国、日本)

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