ハイレベル直接対話はなく、米政権は内政に注力、ジェトロの米中月例レポート(2024年3月)

(米国、中国)

調査部米州課

2024年04月15日

ジェトロは4月11日、米国の対中国関連政策についてまとめた2024年3月分の月例レポートを公表した。このレポートは、日本企業が米中関係に関する米国の動向を把握できるよう、2021年7月から毎月分を作成して特集ページに連載している。

2023年11月に行われた米中首脳会談で、両国はハイレベルでの対話継続で合意したが(2023年11月16日記事参照)、2024年3月は対外発表を踏まえる限り、ハイレベルの直接対話は行われなかった。

バイデン政権は国内向けには、大統領一般教書演説(2024年3月8日記事2024年3月11日記事参照)や2025年度予算教書(2024年3月12日記事参照)などを通じ、一貫して、中国が自国の利益と影響力の強化のために、現在の国際秩序を変革しようとする意志と能力を有する唯一の超大国であることを強調するとともに、米国とその同盟国、パートナー国が協力して対処しなければならないとの立場を、繰り返し表明した。予算教書にあわせて、「大統領予算教書はグローバルな課題に立ち向かい、民主主義を守る」と題するファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表しており、米中関係について、「2025年度予算教書は、抑止力を維持・強化するため、2022年国家防衛戦略に従って、中国を米国の最重要課題と位置付けている」「大統領のリーダーシップの下、政権は中国との戦略的競争に引き続き注力し、米国の競争力を世界規模で強化している」などと説明している。

米国連邦議会では、政策上のメッセージの発信を意図した数多くの法案が出た。特に、3月13日に下院で可決された、中国のバイトダンスが運営する動画共有アプリTikTokの規制や売却に関する「外国敵対勢力が管理するアプリから米国人を保護する法案」は、米国内で多くの関係者に影響を及ぼすことから、議論の的となっている(2024年3月14日記事参照)。バイデン大統領は、同法案が上下両院で可決されれば、署名する意向を表明している。米国内では、同法案を有権者の65%が支持していることが最近の世論調査からわかっている(2024年3月27日記事参照)。

米国の対中政策・措置や米国側から見た米中関係の動向について、行政府、連邦議会、産業界、学会に分けて解説する月例レポートは、こちらの特集ページからさかのぼって閲覧が可能。米中関係に関する中国の動向も確認できる。

(谷本皓哉)

(米国、中国)

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