米最大の飲食店経営者向け食品見本市開催、日本産水産物の輸出拡大を図る

(米国)

農林水産食品部商流構築課

2024年04月02日

米国ネバダ州のラスベガス・コンベンションセンターで3月19~20日、食品見本市「バー・アンド・レストラン・エキスポ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます2024」が開催された。この見本市は2024年で39年目を迎え、バーやレストランの経営者向けでは米国最大の規模となっている。食品、飲料、キッチン用品、フードデリバリーサービスなどを取り扱う約500社の出展があり、レストラン経営者やそのトップシェフをはじめとした、経営決定権を有するとされる購買意欲の高い約1万3,000人以上の来場者が訪れた。

写真 (左)初日の会場エントランスの様子、(右)ジャパンパビリオンの様子(ともにジェトロ撮影)

(左)初日の会場エントランスの様子、(右)ジャパンパビリオンの様子(ともにジェトロ撮影)

ジェトロは2023年に引き続き、ジャパンパビリオンを設置した(2023年4月11日記事参照)。2回目の出展となった今回は、日本産水産品を扱う企業が多く参加した。

その背景には、2023年8月の東京電力福島第1原子力発電所のALPS処理水放出に伴う中国や香港による同産品の輸入停止措置(2023年8月24日記事2023年8月25日記事参照)がある。代替販路の拡大および輸出先の多角化、またさらなる米国での輸出拡大を目指す水産事業者を中心に支援する目的だ。同パビリオンには、北海道産のホタテやウニ、徳島県産の「すだちぶり」(注)などの日本産水産品をはじめ、それらに相性の良い調味料、ラーメン、練り物などの加工品、アルコール飲料、食器などを取り扱う日本企業60社外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが、オールジャパンで日本産食品を後押ししようと計150を超える商品を取りそろえた。中には、日本産ホタテの代替加工地として注目を集めるメキシコのバハ・カリフォルニア州エンセナダの工場で殻をむいた北海道産ホタテを出品する企業もあった(2024年2月26日記事参照)。

ジャパンパビリオンへの来場者は日本産食品への関心が非常に高く、また実際に試食をした際の反応も良好だった。3カ月後に開店を控える日本食飲食店経営者は「メニューに加える予定の日本産食品のサプライヤーを探しにきた」と話した。ホタテの試食をしたバイヤーからは「人生で最高においしいホタテ。まったく臭みがなく、米国でも受け入れられる」「日本産品の品質を信頼している」などの声が聞かれた。

写真 ジャパンパビリオンの様子(ジェトロ撮影)

ジャパンパビリオンの様子(ジェトロ撮影)

「すだちぶり」を出展した徳島魚市場総務部長の細田卓志氏は「中国の禁輸でサプライチェーンが絶たれた影響は大きい。直接・間接問わず、現に苦しんでいる日系企業は多いだろう。円安を後押しに、商圏の広い米国で販路開拓につなげたい」と意気込みを語った。また、瞬間冷凍技術を用いて高鮮度を保つ北海道産ホタテ、ウニを出品したオーランドジャパン代表取締役の大須賀健太氏は「ディストリビューターを探すにも先ずは現地で購入してくれる小売店、レストランを見つけて生産者の思いを伝えることが重要。今回これまでで最も大きな見本市への参加だったが、ホテルラウンジなどからの引き合いがあった。今後は流通チャンネルの確保が課題」と話した。

会期中、ジャパンパビリオン全体を通した日本産食品、飲料の試食提供数は約5万8,000食にのぼり、多くの商談から今後の成約が期待される。

(注)徳島県産すだちの果皮を添加した配合飼料(EP)で育てられたブリ。

(田中友香莉)

(米国)

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