「バングラデシュのLDC卒業に係る現状と政策」調査レポートを公開

(バングラデシュ)

ダッカ発

2024年04月15日

ジェトロは4月11日、バングラデシュの後発開発途上国(LDC)卒業を巡る基礎情報をまとめた調査レポート「バングラデシュのLDC卒業に係る現状と政策」を公開した。

バングラデシュは、2026年11月に国連が定めたLDCを卒業する予定だ。LDC卒業に伴い、これまで欧州などへの輸出時に享受してきた無税無枠制度(Duty Free Quota Free System:DFQF)やLDC特別特恵関税、衣料品・ITサービスを主対象とした輸出補助金などの優遇措置の対象から原則として外れるため、同国経済を牽引する衣料品輸出への影響などが懸案となっている。このため同国政府は、LDC卒業後も自国製品の免税措置を維持することを大きな目的の1つとして、経済連携協定(または自由貿易協定)の潜在的なパートナーを模索している。日本政府は2024年3月12日、2国間経済連携協定(EPA)に向けたバングラデシュとの交渉開始を決定した(2024年3月13日記事参照)。

本件に関しては、事業拡大を検討する進出日系企業や新規参入を検討する日本企業からジェトロにも照会が多く寄せられており、こうした背景から今般、同国のLDC卒業に係る基礎情報を整理した。具体的には上記のポイントに加え、現行の地域貿易協定(Regional Trade Agreement)や、今後のインドなどとの2国間協定に係る公開情報ベースの動向を掲載している。

同国の経済や政策分析を専門とする民間シンクタンクのバングラデシュ政策研究所(PRI:Policy Research Institute of Bangladesh)のエグゼクティブダイレクターで、IMFなどで要職を歴任したアーサン・モンスール氏は、「LDC卒業は対内直接投資(FDI)促進の観点からも重要な節目だ。日本が開発を主導するバングラデシュ経済特区(BSEZ、2023年12月5日記事参照)はFDIの受け入れ先として中心的な役割を担う。引き続き国内の基礎インフラ、特に物流面の整備に加え、事業展開に係る優遇措置や、規制運用の合理化もFDI誘致促進の欠かせない要素となる」と話す(インタビュー2024年4月11日)。

(山田和則)

(バングラデシュ)

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