2023年の投資認可額は過去最高、製造業への外国投資は前年比94.5%増

(マレーシア)

クアラルンプール発

2024年03月18日

マレーシア投資開発庁(MIDA)は2月29日、2023年の投資認可総額が前年比23.0%増の3,295億リンギ(約10兆5,426億円、1リンギ=約32円)と、過去最高を記録したと発表した。うち、サービス業が51.1%、製造業が46.1%、第一次産業が2.8%を占めた。また、投資認可総額のうち、国内投資が42.8%、外国投資が57.2%を占めた。

ジェトロが3月5日に別途、MIDAから入手したデータによると、2023年の製造業向け外国投資認可額は、前年比94.5%増の1,284億3,825万リンギとほぼ倍増し、統計がさかのぼれる1986年以来2番目に高い水準となった。製造業全体の投資認可額のうち、外国投資は84.5%を占めた。

業種別にみると、上位5業種が全体の9割強を占めた。全体の6割強を占める電気・電子製品が前年比3.0倍の824億2,434万リンギで首位に立った。2位の機械装置は3.2倍の169億6,368万リンギ、3位の非金属鉱物は18.1%増の62億9,582万リンギ、4位の化学・同製品は8.6%増の62億1,823万リンギといずれも前年を上回った(添付資料表1参照)。一方、輸送機器は23.1%減の50億7,660万リンギと前年を下回った。

国・地域別では、オランダが前年比4.0倍の348億5,406万リンギ(15件)で首位となった(添付資料表2参照)。電気・電子製品関連の投資案件4件で全体の95.7%を占めた。発光ダイオード部品などを手掛けるルミレッズによる257億リンギ相当の大型投資が大きく寄与した(2023年12月19日記事参照)。次いで、米国が4.2倍の181億1,970万リンギ(27件)で2位だった。オランダと同様に、電気・電子関連の投資案件11件で全体の8割強を占め、例えば、リチウム電池メーカーのエノビックス・コーポレーションによるシリコン電池製造拠点設立(58億リンギ相当)があった。ケイマン諸島は192.5倍の168億5,201万リンギ(10件)で3位に躍進した。次いで、シンガポールが33.9%増の128億7,016万リンギ(122件)と続き、とりわけ電気・電子製品、化学・同製品、プラスチック製品関連の投資案件が寄与した。中国は25.5%増の119億9,201万リンギ(64件)で5位だった。MIDAは中国企業による主要な投資案件として、リチウム電池セパレーターメーカーの星源材質科技による、東南アジア初の電池セパレーターの生産拠点設立(32億リンギ)を挙げた(2023年8月31日記事参照)。

日本による製造業投資認可額は、前年比10.9%増の101億8,650万リンギで6位だった。内訳をみると、機械装置が65億115万リンギ(3件、前年比9.4倍)で全体の6割強を占めた。次いで、電気・電子製品が30億8,502万リンギ(9件、70.5%増)、化学・同製品が3億20万リンギ(5件、92.5%減)、金属加工品が1億3,404万リンギ(6件、7.0倍)、輸送機器が9,489万リンギ(4件、151.4倍)と続いた(添付資料表3参照)。報道や各社リリースによると、主な投資案件として、豊田自動織機によるマレーシアの自動車・重機大手UMW産業機器事業への26%出資や、岩谷産業によるマレーシア冷媒事業会社2社の買収、KOA電工による新工場設立に向けた追加投資などが挙げられた。

過去3年間の認可投資のうち7割強が実施

テンク・ザフルル・アジズ投資貿易産業相は同日の記者会見で、初めて投資認可案件の実行率に言及し、2021~2023年において、製造業の認可件数(2,386件)のうち74.0%が既に実行に移されたと発表した(各年の実行率は添付資料図参照)。そのほか、2024年1~2月には、MIDAは100件以上、888億リンギ相当の投資案件(製造業、サービス業、第一次産業を含む)を認可する段階に入っており、さらに1,710件、878億リンギ相当の投資案件申請を新規に受け付けたという。「2024年通年も、前年比8~10%の増加率で過去最高記録を更新するだろう」と明るい見通しを示した。

写真 投資貿易産業省のテンク・ザフルル大臣による記者会見の様子(ジェトロ撮影)

投資貿易産業省のテンク・ザフルル大臣による記者会見の様子(ジェトロ撮影)

(エスター頼敏寧)

(マレーシア)

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