2023年1~9月の製造業向け外国投資認可額、前年同期比68.4%増

(マレーシア)

クアラルンプール発

2023年12月19日

マレーシア投資開発庁(MIDA)は12月6日、2023年1~9月の国内外投資認可総額が、前年同期比6.6%増の2,250億リンギ(約7兆2,000億円、1リンギ=約32円)となり、2023年通年の目標額(2,200億リンギ)を超えたと発表した。うち、サービス業が52.3%、製造業が44.4%、第1次産業が3.3%を占めた。

ジェトロが12月11日に別途、MIDAから入手したデータによると、同時期の製造業向けの外国投資認可額は、前年比68.4%増の848億3,625万リンギと好調で、国内投資も合わせた製造業全体の投資認可額の85.0%を占めた。

業種別にみると、1位の電気・電子製品が前年同期比2.6倍の562億9,942万リンギ、2位の機械装置が3.3倍の96億2,279万リンギといずれも急増した。一方、3位の非金属鉱物は4.1%減の48億1,261万リンギ、4位の輸送機器は29.4%減の46億3,533万リンギとどちらも前年割れになった(添付資料表1参照)。次いで、基礎金属製品が3.6倍の23億4,468万リンギと続いた。これら上位5業種が全体の9割強を占めた。

MIDAの発表によると、世界の半導体市場回復を反映し、電気・電子製品が製造業の外国投資における拡張・多角化案件の83.5%を占めた。MIDAは具体的な投資案件に言及しなかったが、LEDチップや半導体デバイスなどの電子部品を製造する拡張案件4件で、投資認可額は累計405億リンギに上ったと明らかにした。

国・地域別では、オランダが前年同期比5.8倍の343億2,414万リンギ(12件)で首位だった(添付資料表2参照)。同国による具体的な投資案件としてMIDAは、LEDチップ、デバイス、サブアセンブリやLEDベースの照明製品などを製造するルミレッズによる257億リンギ相当の大型投資を挙げた。次いで、米国が4.1倍の155億8,730万リンギ(18件)、中国が6.4%増の92億8,196万リンギ(39件)、日本が96.9%増の85億3,521万リンギ(26件)といずれも前年同期比で増加した。一方、シンガポールが15.1%減の48億1,349万リンギ(81件)に減少した。表2の上位10カ国・地域が、製造業における外国投資認可額全体の97.9%を占めた。

日本による製造業投資認可案件の内訳をみると、機械装置が65億115万リンギ(3件、前年同期比10.1倍)で全体の76.2%を占めた。次いで、電気・電子製品が16億9,752万リンギ(6件、69.5%増)、金属加工品が1億3,443万リンギ(6件、13.1倍)、輸送機器が9,489万リンギ(4件、前年は実績なし)、化学・同製品が5,242万リンギ(3件、2.2倍)と続いた(添付資料表3参照)。2023年第3四半期に報じられた、日本からの主な電気・電子関連の投資案件として、フェローテックによるパワー半導体用基板の新工場設置があった。

テンク・ザフルル・アジズ投資貿易産業相は今回の発表で、とりわけオランダ、シンガポール、米国、中国、日本といった国からの投資流入はまさに、マレーシアが世界の企業から誘致したいハイテクかつ戦略的な投資だと述べた。また、同相は「このような投資家の多様性は、特にASEAN地域におけるマレーシアの戦略的拠点としての普遍的な魅力を反映するものだ」も強調した。

(エスター頼敏寧)

(マレーシア)

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