次期再エネ支援スキームCfDオークション、過去最大の予算規模に

(英国)

ロンドン発

2024年03月15日

英国政府は3月6日、再生可能エネルギー(再エネ)支援スキームの差額決済契約(Contracts for Difference:CfD、注)制度に関し、2024年度予算策定(2024年3月8日記事参照)に伴い、次回第6回オークションの予算枠を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。10億ポンド(約1,890億円、1ポンド=約189円)超と、CfDオークションで過去最大の予算枠が確保された。

前回の第5回オークションでは、政府が設定したストライクプライス(対象となる電源の固定価格)の上限価格水準の低さを背景に洋上風力は応札なしという結果に終わっていた(2023年9月15日記事参照)。これを受け、2023年11月に洋上風力を含む再エネプロジェクトに対する上限価格引き上げを発表したことに続き、再エネ支援を強化する対応となった(2023年11月20日記事参照)。

今回発表となった予算は、ポットと呼ばれる技術別の枠に配分されており、ポット1(陸上風力や太陽光などの「確立された技術」)には1億2,000万ポンド、ポット2(浮体式洋上風力発電や地熱発電などの「確立途上の技術」)には1億500万ポンド、ポット3(洋上風力)には8億ポンドが配分される。第6回オークションの参加申請期間は3月27日から4月19日まで。

今回の予算枠確保を受けて、エネルギー企業の業界団体エナジーUKは、英国のエネルギー安全保障の目標達成には近づくものの、道のりは長いと指摘。同団体の分析では、2030年までに50ギガワット(GW)の洋上風力導入という目標達成に向け、第6回および第7回のオークションで合わせて21GWの新規容量確保が必要である一方、今回発表された予算を考慮すると第6回は約3~5GWにとどまると予想した。再生可能エネルギー企業の業界団体リニューアブルUKによると、今回のオークションへの入札資格があると考えられるプロジェクトは、現時点で10GW以上。

このほか、英国政府は2023年12月に発表した洋上風力など再エネの送電網への接続を含む電力ネットワーク改善計画(2023年12月6日記事参照)の進捗についても言及。2025年1月からは新たな接続プロセスのもと、開発の進捗状況を確認できるプロジェクトにのみ、送電網への接続スケジュールが示される運用とする。

低炭素水素製造の支援プロジェクト追加も発表

英国政府は2月27日には、低炭素水素に関し、7つの製造プロジェクトに対して合計2,100万ポンドの資金を提供することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。水素製造設備の建設を支援する「ネットゼロ水素ファンド」による支援は、2023年12月に11のプロジェクトに対し約9,000万ポンドの支援が発表されており、それに続くものとなった(2023年12月18日記事参照)。

(注)発電事業者の再生可能エネルギーへの投資リスクを減らすため、運転開始から15年間、対象となる電源の固定価格(ストライクプライス)と市場価格の間の変動する差額を政府が補填(ほてん)する制度。事業者はオークションで、技術ごとに自社の固定価格と設備容量を提示し競う(2021年5月20日付調査レポートの21ページ以降参照)。

(菅野真)

(英国)

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