英政府、次期再エネ支援スキームCfDオークションの上限価格引き上げを発表

(英国)

ロンドン発

2023年11月20日

英国政府は11月16日、再生可能エネルギー(再エネ)支援スキームの差額決済契約(Contracts for Difference:CfD、注)制度に関し、次回第6回オークションにおけるストライクプライス(対象となる電源の固定価格)の上限価格の引き上げを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

前回の第5回オークションでは、政府が設定したストライクプライスの上限価格水準が経済状況を反映したものとなっておらず、洋上風力に関して事業者の応札なしという結果に終わった。この要因として、政府は世界的なインフレとサプライチェーンへの影響と説明していた(2023年9月15日記事参照)。

この結果を受け、英国政府は今回、洋上風力を含む再エネプロジェクトに対してストライクプライスの上限価格引き上げを発表。(着床式)洋上風力については、44ポンド/メガワット時(MWh)から73ポンド/MWhに、浮体式洋上風力については116ポンド/MWhから176ポンド/MWhにそれぞれ引き上げとなった。

洋上風力のほか、地熱発電、太陽光発電、潮流発電の上限価格についてもそれぞれ引き上げることが発表された(添付資料表参照)。

洋上風力に関連する産業界は、今回の政府の発表を歓迎している。再生可能エネルギー業界団体のリニューアブルUKやエネルギー事業者の業界団体のエナジーUKなどが今回の措置について、再エネ促進によるエネルギー安全保障、エネルギー価格安定化に貢献するとともに、投資家や開発事業者が直面している国際競争の激化と経済的課題に対応していると評価した。

また、政府は同日、2025年実施の第7回オークションに向けて、低コストの再エネを提供できる能力だけでなく、プロジェクトが業界の環境的、経済的な持続可能性の強化にどの程度貢献できるか(非価格要素)を評価する仕組みについて、意見公募外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを開始した。この非価格要素については、サプライチェーンが雇用や地域経済にどのような影響を与えるかなど、プロジェクトの社会的影響も考慮される予定だ。

さらに、送電網のインフラ整備と(再エネ)接続を加速し、需要家の再エネへのアクセスを促進する措置を講じていると説明。接続プロセスを改革するとともに、接続までの所要期間を短縮するため、今後、アクションプランが発表される予定。

なお、第6回オークションについては、2024年3月に入札開始を予定している。

(注)発電事業者の再生可能エネルギーへの投資リスクを減らすため、運転開始から15年間、対象となる電源の固定価格(ストライクプライス)と市場価格の間の変動する差額を政府が補填(ほてん)する制度。事業者はオークションで、技術ごとに自社の固定価格と設備容量を提示し競う(2021年5月20日付調査レポートの21ページ以降参照)。

(菅野真)

(英国)

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