ウクライナのスタートアップ、AIソリューションをアピール

国際協力機構（JICA）が2月15～17日に開催したイベント「Connecting with Ukraine ～日ウクライナパートナーシップの強化と共創～」（2024年2月29日記事参照）の枠内で、16日にウクライナのスタートアップ企業10社によるピッチイベントが開催された。各社が開発するソリューションについて次のようなプレゼンテーションが行われた。

Datrics.：コーディング（注）が不要の人工知能（AI）によって、マーケティングや財務など各社の目的に合わせたデータを分析・学習するプラットフォームを提供する。ユーザーはチャットなどで必要なデータの集計が可能で、直感的に使いやすい機能が搭載されている。

MISU：AIとスマートウォッチ、スマートフォンなどを活用して健康管理をサポートするアプリを開発する。アプリを通じて使用者の心臓病などの病気の兆候をモニタリングする。

Wantent：AIで広告、映画、テレビ、動画などの視聴者の表情や反応を分析し、コンテンツの改善策などを提案する。

V-Art：AIを活用してコンテンツなどの知的財産を収益化するためのサービスを提供する。

Djooky：アーティストが楽曲の著作権を投資家にオークションで売却できるプラットフォームを提供する。利用者は新たな収入源の確保と資金調達をすることができる。

Osavul：AIを使ったさまざまなリスク分析を行い、顧客を風評リスクや偽の情報から保護する。同社はウクライナ政府とともに、他国の情報操作対策にも取り組んでいる。

Deus Robotics：倉庫で利用される自律型ロボット。倉庫での作業効率の向上や労働力不足を補う。欧州や米国では労働者の賃金が上昇しており、ロボット導入でコスト削減につながる。

Esper Bionics：AIを搭載した5本指のロボット義手を開発する。AIが使用者の動きを学習して動作をサポートする。負傷したウクライナの軍人も利用している。

Regrow：農業のサプライチェーンの中で排出される二酸化炭素（CO2）などの温室効果ガス（GHG）排出量を分析し、排出量削減のソリューションなどを提案する。5カ国で各産業の大手企業と取引をしている。

Sigma Software：ソフトウエアの開発やテスト、ITコンサルティング、グラフィックデザインなどを手掛ける。同社はポーランド、ウクライナ、ハンガリー、ブルガリア、チェコ、ポルトガル、カナダ、ブラジル、コロンビアに開発オフィスを展開している。

このイベントは2月19日に開催された「日・ウクライナ経済復興推進会議」に向け、持続的な官民一体となった取り組みを促進するプレイベントとして開催された（2024年3月1日記事参照）。

（注）プログラミング言語を使い、プログラムを動かすためのソースコードを記述すること。

（小野塚信）