日・ウクライナ経済復興推進会議で56件の協力文書が締結
(日本、ウクライナ)
調査部欧州課
2024年03月01日
日本政府は2月19日、経団連、ウクライナ政府、ジェトロとの共催で「日・ウクライナ経済復興推進会議」を開催した。岸田文雄首相とウクライナのデニス・シュミハリ首相が登壇したほか、日本とウクライナ両国組織によって56の協力文書が締結された。
両国政府代表セッションで、岸田首相は経済復興を進めることは未来への投資と強調し、ウクライナの第一次産業から第三次産業に至る網羅的な経済発展を目指し、官民一体となって支援すると述べた。具体的な行動として、両国のビジネス連携や投資・貿易の拡大のため、新たな租税条約の締結やウクライナ国民向け数次ビザ発給要件の緩和、首都キーウにジェトロ事務所を設置すると発表した。
シュミハリ首相は、日本がウクライナへの金融支援でリーダーシップを発揮していると説明した。また、経済復興の原動力は民間セクターだと強調し、日本の自動車メーカーに対してウクライナへの製造拠点設立を提案した。
文書の交換式では、両国政府や政府機関、民間企業などの間で締結された56件の協力文書が披露された。ジェトロはウクライナ外務省、ウクライナ起業・輸出促進機構、国連開発計画(UNDP)、国連工業開発機関(UNIDO)、欧州復興開発銀行(EBRD)と協力文書を交わした。
経済セッションでは、両国の政府・機関による発表が行われた。ユリア・スビリデンコ第1副首相兼経済相がビデオメッセージを寄せ、2024年のウクライナ経済は4.6%成長を見込んでいると述べた。また、政府の目標である経済の自立を達成するためにも、日本の支援が重要だと強調した。
ジェトロの石黒憲彦理事長は今後のウクライナ支援の取り組みについて、3月5日から8日に開催される「FOODEX JAPAN 2024(第49回国際食品・飲料展)」にウクライナのナショナルパビリオンを設置し、ウクライナ企業の輸出強化に貢献すると説明した。
ウクライナ大統領府のロスティスラウ・シュルマ副長官は、ウクライナ復興には日本の技術が重要で、日本企業にとってもウクライナを経由した欧州市場に入るチャンスとも強調した。
(小野塚信)
(日本、ウクライナ)
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