インドネシア、EUとの第17回CEPA交渉会合を開催、3分野で合意

(インドネシア、EU)

ジャカルタ発

2024年03月14日

インドネシア商業省は3月2日、西ジャワ州のバンドンで、インドネシアEU包括的経済連携協定(IEUCEPA)の第17回交渉会合(注1)を2月26日から3月1日にかけて開催したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同会合で持続可能な食料システムに関する協力(注2)、貿易の技術的障害、制度に関する規定の3分野で合意に至った。

今回の会合では物品貿易、サービス貿易、投資、持続可能な食料システムに関する協力、貿易と持続可能な開発、原産地規則、エネルギーと原材料、貿易の技術的障害、補助金、知的財産、制度に関する規定、不正防止の12の分野について交渉が行われた。

同省国際貿易交渉総局のジョニ・マルタ2国間交渉ディレクターは「インドネシアのジョコ・ウィドド大統領とウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長が合意した2024年内の交渉妥結という目標に向けて、引き続き交渉を継続させる」と述べた。

貿易統計データベースのグローバル・トレード・アトラスによると、2023年のインドネシアのEUへの輸出は約2兆7,800億円(注3)で、主な輸出品はパーム油・関連製品、銅鉱(精鉱を含む)だった。EUからインドネシアへの輸出は約1兆9,800億円で、主な輸出品は乗用車や医薬品、小麦、乳製品などだった。

輸入措置など巡る隔たり、妥結目標達成に懸念

2024年内の妥結を目指して交渉が続くとみられるが、両国・地域間には交渉進展を妨げ得る課題があるとの見方もある。インドネシアは、EUが2023年6月に発効させた森林破壊防止のためのデューディリジェンス義務化に関する規則に対する懸念を表明している(2023年6月13日記事参照)。また、パーム油を原料としたバイオ燃料の輸送用燃料への使用を2030年までに禁止すべきとしたEUの輸入規制について、インドネシア政府はWTOに提訴している(注4)。EUも、2024年10月からインドネシアが開始する食品などへのハラール表示義務化(2021年7月6日付地域・分析レポート参照)などを非関税障壁として懸念を抱いているとされる(「ジャカルタ・ポスト」紙2023年5月12日)。

(注1)同交渉は2016年7月に開始し、第16回交渉会合は2023年12月4日から8日にかけてベルギーのブリュッセルで開催された。

(注2)食料の生産から消費、廃棄の過程で肥料などの削減や温室効果ガス(GHG)排出量の削減などへの協力や、有事の際の食料供給確保のための緊急時対応計画の策定などが見込まれる。

(注3)IMFの2023年平均レート、1ドル=140.49円で算出。

(注4)インドネシアは3月5日、WTOのパネル(小委員会)に対して2カ月間、作業を停止するよう要請外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。

(大滝泰史)

(インドネシア、EU)

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