米ミズーリ州トヨタ工場で労働者の30%以上が労働組合授権カードに署名、日系自動車メーカーでは初

(米国、日本)

シカゴ発

2024年03月12日

全米自動車労働組合(UAW)は3月6日、ミズーリ州トロイのトヨタのエンジン部品工場の労働者の30%以上が組合授権カードに署名したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。UAWが2023年11月29日に、米国で組合を持たない自動車メーカー13社(注1)で勤務する約15万人の労働者向けに、組合への加入を促すキャンペーンを開始して以降(2023年12月8日記事参照)、フォルクスワーゲン(VW)のテネシー州チャタヌーガ工場、メルセデス・ベンツのアラバマ州タスカルーサ工場、現代のアラバマ州モンゴメリー工場に続いて(2023年12月13日2024年1月17日2024年2月2日記事参照)4社目の発表となった。同工場は、従業員が約1,000人で、年間260万個以上のエンジンのシリンダーヘッドを製造している。

UAWによると、ある工場で30%以上の労働者が組合授権カードに署名すると、今回のように組合の組織化のめどがたったことが公表される。さらに、労働者の50%以上が授権カードに署名すると、労働者は地域のリーダーやUAW会長とともに公開集会を開催する。そして、組合授権カードに署名する労働者が70%以上に達すると、工場内の全シフト、全職種の労働者で組織委員会を構成した後、企業に組合を承認するよう要請する(注2)。もし企業が組合組成を承認しなかった場合、組織委員会は全米労働関係委員会(NLRB)に署名済みの組合授権カードを提出し、NLRBが組合組成の承認可否の選挙を行う。投票者の過半数が組合組成を選んだ場合、NLRBはその組合を団体交渉の代表として承認する。

なお、UAWは2024年2月21日に、現在、非組合員である自動車・バッテリー労働者の組織化を目的として、2026年までに4,000万ドルを拠出すると発表している(2024年2月26日記事参照)。

(注1)対象となっている自動車メーカーは、日系のトヨタ、ホンダ、日産、スバル、マツダ、韓国系の現代、欧州系のメルセデス・ベンツ、BMW、VW、ボルボ、EV(電気自動車)メーカーのテスラ、リビアン、ルーシッドの計13社。

(注2)職場で労働者の30%が組合授権カードに署名すると、その組合はNLRBによる組合承認の選挙を実施する資格を得ることができる。

(星野香織)

(米国、日本)

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