米テネシー州のVW工場、労働者の30%以上が労働組合授権カードに署名

(米国、ドイツ)

アトランタ発

2023年12月13日

全米自動車労働組合(UAW)は12月7日、フォルクスワーゲン(VW)のテネシー州チャタヌーガ工場で、1,000人以上の労働者が組合授権カード(注1)に署名したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

UAWは11月29日、米国で組合を持たない自動車メーカー13社(注2)で勤務する約15万人の労働者向けに、組合への加入を促すキャンペーンページをオフィシャルサイトに開設した(2023年12月8日記事参照)。UAWによると、VWのチャタヌーガ工場で働く労働者の30%以上が労働組合組織化運動に参加しており、今回のキャンペーンの大きな節目となったという。

UAWは「30・50・70戦略」という方針をとっており、組合に加入していない工場の労働者の30%がUAW加入を求めるカードに署名すれば、それを公表している。また、50%の労働者が加入を希望すれば、UAWのショーン・フェイン会長や賛同者とともに集会を開き、この取り組みを宣伝する。70%の労働者がUAWへの加入を希望し、全ての部署やライン、シフトでボランティア組織委員会が設置されると、UAWは当該企業に対し、組合結成の承認を求めるか、投票に持ち込むとしている。

日系メーカーを含む米国で組合を持たない自動車メーカーは、UAWが「デトロイト3」との労使交渉の暫定合意に達して以来、続々と賃上げを発表している(オートモーティブ・ニュース12月1日)。VWは11月22日、テネシー州チャタヌーガ工場で生産に携わる従業員の給与を11%引き上げると発表した。賃上げは12月から適用し、2024年2月には初任時給から最高時給に達するまでの期間が短縮された賃上げスケジュールが始まる予定だ。

UAWは長年、日系や欧州系、韓国系といった米国で組合を持たない自動車メーカーの工場の組織化を試みており、今回組合設立への動きが発表されたVWの工場でも、2014年と2019年に労働組合を組織化するための投票が行われたが、否決されている(2019年7月2日記事参照)。

(注1)労働者が労働組合を交渉の際の代表として支持することを示す署名入りのカード。

(注2)今回対象となっている自動車メーカーは、日系のトヨタ、ホンダ、日産、スバル、マツダ、韓国系の現代、欧州系のメルセデス・ベンツ、BMW、フォルクスワーゲン、ボルボ、電気自動車(EV)メーカーのテスラ、リビアン、ルーシッドの13社。

(吉田祥子)

(米国、ドイツ)

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