アジア太平洋のドイツ企業、インド、マレーシア、ベトナムに投資意欲

(ドイツ、中国、日本)

調査部欧州課

2024年02月02日

ドイツ商工会議所連合会(DIHK)は1月15日、2023年11月に発表した在外ドイツ企業に対する秋季景況感調査(2023年11月16日記事参照)のうち、アジア太平洋地域からの回答(注)を抽出した報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

秋季景況感調査は2023年9月25日~10月20日に実施。ドイツ国外の会員企業約3,600社が回答し、うちアジア太平洋地域からは800社超が回答した。

今回の報告書では、自社の事業の現状について、「良い」の回答割合から「悪い」を引いたDI値の同地域の平均は19ポイントだった(添付資料表参照)。同DI値が最も高かったのはインド(52ポイント)、次いで、ニュージーランド(49ポイント)、フィリピン(44ポイント)。日本は5ポイントだった。

今後12カ月の自社の事業見通しについてのDI値(「改善」と「悪化」の差)は、当該地域の平均は38ポイントだった。同DI値が最も高かったのはインド(66ポイント)、次いで、マレーシアとフィリピン(いずれも63ポイント)。日本は25ポイントだった。

今後12カ月間の自社の所在地での投資見通しについてのDI値(「増やす」と「減らす」の差)は、当該地域の平均は13ポイントだった。同DI値が最も高かったのはインド(40ポイント)、次いで、マレーシア(33ポイント)、ベトナム(26ポイント)。日本は15ポイントだった。

中国、香港、台湾(グレーターチャイナ)では、全てのDI値がアジア太平洋地域の平均を下回った。

アンケートでは、所在地での投資を増やす理由も質問(複数回答可能)。「市場の規模、発展」の回答が最も多かったのは日本(84%)、次いで、韓国(81%)、インドと香港(ともに78%)。「顧客との距離の近さ、現地化」の回答が最も多かったのは中国の69%で、2位のタイ(53%)と16ポイントもの差があり、中国事業の現地化への関心の高さがうかがわれた。

また、報告書では、在日ドイツ商工会議所(AHK Japan)の「日本は、地域統括機能の中国から他地域への移転検討に当たって高い注目を集め、ドイツ企業が日本での増員を考えることになる。安定的で信頼できる日本の土台は魅力的で、コスト的にも好適だ」とのコメントも紹介された。

「チャイナ・プラスワン」の継続

DIHKは1月23日、ドイツ企業代表団のシンガポールとタイ訪問に先立つプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、アジア太平洋地域での事業は「現時点では中国での事業の『アドオン(追加)』にとどまる」もので、中国との断絶ではなく、「チャイナ・プラスワン」だとの認識を示した。

在外ドイツ企業の「チャイナ・プラスワン」の動きは、DIHKの2023年発表の調査で既に明らかになっている(2023年1月11日記事参照)。

(注)オーストラリア、インド、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、ニュージーランド、フィリピン、シンガポール、スリランカ、タイ、ベトナム、中国、香港、台湾の15カ国・地域からの回答。

(二片すず)

(ドイツ、中国、日本)

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