在外ドイツ企業、アジアで「チャイナ・プラスワン」の動き

(ドイツ、中国)

ミュンヘン発

2023年01月11日

ドイツ商工会議所(DIHK)は12月21日、在外ドイツ企業に対する景況感の秋季アンケート調査のうち、調達先と生産・拠点の見直しに関する結果を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(注)。アンケートは全世界の在外ドイツ企業の拠点・子会社などを対象に、10月4~23日に実施、3,100社以上が回答した。

全世界的な供給制約や、新型コロナウイルス感染拡大の影響、ウクライナ侵攻などを受けての対応(複数回答可)について、「新規調達先の開拓」を「既に実施」と回答したのは35%、「計画中」は30%となった。「生産拠点などの移転」を「既に実施」としたのは10%、「計画中」は16%だった。

調達先を見直す理由(複数回答可)については、回答企業の64%が「コストの最適化」、62%が「調達に問題が生じた際のリスク低減などのための調達先の多様化」とした。新規調達先を探す場合の国・地域では、全ての地域で5割以上が「(拠点がある)当該国・地域内」と回答、地理的な近さを重視していることが判明した。DIHKはこの理由について、サプライチェーンを短くして物流の障害やコスト増を避けるためとみている。

在アジア大洋州(中国を除く、以下同)のドイツ企業では、同地域内で新規調達先を探すとした企業(複数回答可)は61%だった一方、中国で新規調達先を探すとしたのは22%にとどまった。他方、在中国ドイツ企業について、中国で新規調達先を探すとした回答は51%なのに対し、アジア大洋州で新規調達先を探すとした割合は61%に上った。DIHKはこの結果について、ドイツ企業の「チャイナ・プラスワン」の動きを示すものとしている。

生産・拠点の移転計画の有無については、世界全体でみて、在中国ドイツ企業が最も高い割合となった。具体的には、生産・拠点の移転を「既に実施」13%、「計画中」28%で、世界平均(それぞれ10%、16%)を上回った。移転先について、在中国ドイツ企業では回答企業の64%がアジア大洋州とした一方、在アジア大洋州ドイツ企業で中国と回答したのは4%にとどまった。DIHKはこの点も、ドイツ企業がアジア大洋州地域で「チャイナ・プラスワン」を目指す証左としている。

DIHKのフォルカー・トライアー国際経済担当理事は今回のアンケート結果について、「ドイツ企業は引き続きグローバル化路線にある。ただし、多様化にも注力している」とコメントしている。

(注)DIHKは在外ドイツ企業に対する景況感の秋季アンケート調査のうち、アジア太平洋地域からの回答を抽出した結果も公表している(2022年11月24日記事参照)。

(高塚一)

(ドイツ、中国)

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