日米政府、第1回のサプライチェーン上の人権タスクフォースを開催

(米国、日本)

ニューヨーク発

2024年02月16日

米国通商代表部(USTR)は2月14日、日米両国による「サプライチェーンにおける人権および国際労働基準の促進に関するタスクフォース」の第1回の会合を開催したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。日本の経済産業省も同日、発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。会合は、2月5日の日米政府間対話と、13日の産業界、労働組合、市民社会団体などを含むステークホルダー対話の2つに分けて、オンラインで行われた(日付は米国時間)。

日米両政府は2023年1月に、タスクフォースの立ち上げに関する協力覚書に署名し、両国のサプライチェーン上の人権尊重や労働者の権利保護に関連する法令や政策、ガイダンス、執行実務の情報共有などを行う政府間対話、両国の通商政策と規制が労働者と企業に与える影響に関する意見聴取などを行うステークホルダー対話の設置に合意していた(2023年1月10日記事参照)。

今回の第1回会合では、日本側は柏原恭子経済産業省通商機構部長/ビジネス・人権政策統括調整官が、米国側はケイティ・マストマンUSTR代表補代行(労働担当)が共同議長を務めた。

政府間対話では、経産省やUSTRのほか、日本側は外務省、法務省、厚生労働省、農林水産省、米国側は税関・国境警備局(CBP)、労働省、国務省も参加した。USTRの発表によると、次の点について意見交換が行われた。

  • 米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の「事業所特定の迅速な労働問題対応メカニズム(RRM)」(注1)など、米国の通商政策における労働条項
  • ウイグル強制労働防止法の履行状況
  • 新疆サプライチェーンビジネスアドバイザリー(注2)の更新情報
  • 児童労働または強制労働によって生産された物品に関する労働省のリスト(注2)作成の方法論

ステークホルダー対話では、人権や国際的に認められた労働権に関する企業のデューデリィジェンスに関するベストプラクティスについて議論し、情報共有が行われた。日本側からは経産省、外務省、農林水産省、法務省に加え、経団連、連合、ザ・グローバル・アライアンス・フォー・サステイナブル・サプライチェーン(持続可能なサプライチェーンの構築を支援するNGO)、ACE(児童労働の解決を目指すNPO)、国際労働機関(ILO)駐日事務所が、米国側からは、USTR、CBP、労働省、国務省のほか、責任ある鉱物取引に関する官民連携アライアンス(コンゴ民主共和国などでのサプライチェーン上のデューディリジェンス改善を支援するアライアンス)、米国国際ビジネス評議会(USCIB)、米労働総同盟・産業別組合会議(AFL-CIO)、ベリテ(労働者の権利保護を支援する非営利の市民社会団体)、責任ある調達のためのネットワーク(RSN、原材料に関連する強制労働をなくすことを目的とする慈善団体)が参加した。

タスクフォースに基づく会合は、原則年に2回開催するとされているが、次回開催についての発表はされていない。

(注1)直近のRRMに基づく労働問題の解決事案は、2024年2月14日記事参照。

(注2)貿易関係者がサプライチェーンのデューディリジェンス、追跡および管理のために参考とし得る米国政府作成資料。ジェトロのウイグル強制労働防止法(UFLPA)「輸入者向けの運用ガイダンス(暫定仮訳)」参照。バイデン政権は2023年9月に新疆サプライチェーンビジネスアドバイザリーの付属書を発表している(2023年9月27日記事参照)。

(赤平大寿)

(米国、日本)

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