米政府、UFLPAの事業者リストに中国企業3社追加、産業界向け勧告への付属書も発表

(米国、中国)

ニューヨーク発

2023年09月27日

米国国土安全保障省(DHS)は9月26日、中国の新疆ウイグル自治区が関与する製品の輸入を原則禁止するウイグル強制労働防止法(UFLPA)に基づく輸入禁止対象の事業者をまとめた「UFLPAエンティティー・リスト」の更新を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。翌27日付の官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公示し、即日有効となる。2022年6月のUFLPA施行以降、同リストを更新するのは2023年8月(2023年8月3日記事参照)に続いて3回目。

UFLPAでは、新疆ウイグル自治区で生産した物品だけでなく、UFLPAエンティティー・リスト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの掲載事業者が全体または一部を生産した製品も輸入禁止対象となる(2022年8月4日記事参照)。DHSが議長を務める強制労働執行タスクフォース(FLETF、注1)は今回、いずれも新疆ウイグル自治区に本拠を置く繊維関連企業の新疆中泰グループ(Xinjiang Zhongtai Group)、新疆天山毛紡(Xinjiang Tianshan Wool Textile)、新疆天棉基業紡織(Xinjiang Tianmian Foundation Textile)の3社をリストに追加した。今回の追加により、リスト掲載事業者は27となった(注2)。DHSのアレハンドロ・マヨルカス長官は「DHSとバイデン政権のその他パートナー機関は引き続き、これら企業の責任を追及し、迫害された人々の権利のために闘い、中国の新疆ウイグル自治区での強制労働を消滅させるために取り組んでいく」との声明を出している。なお、連邦議会下院の「米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会(中国特別委員会)」のマイク・ギャラガー委員長(共和党、ウィスコンシン州)は前の週に、バイデン政権に対してUFLPAの厳格な執行を求める書簡を送付していた(2023年9月21日記事参照)。その中ではUFLPAエンティティー・リストの追加候補として25の事業体を挙げていたが、今回DHSが追加した3社は含まれていなかった。

国務省は同日、2021年7月に財務省、商務省、DHS、通商代表部、労働省との連名で発表した産業界向け勧告書(2021年7月14日記事参照)への付属書を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。勧告書は産業界に対して、新疆ウイグル自治区での強制労働ほか人権侵害に関与する事業体がサプライチェーンに含まれていないか、デューディリジェンスを求める内容となっている。付属書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)のポイントには、(1)政府およびNGOによる同自治区での強制労働・人権侵害によるサプライチェーン上のリスクに関する報告書の紹介、(2)UFLPAの執行戦略外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに基づいて、デューディリジェンスを実施する緊急性が挙げられている。国務省は、米国は引き続き中国による残虐行為・人権侵害に対して、政府全体を挙げて、また産業界や同盟・友好国とも連携して説明責任を求めていくとしている。

(注1)DHSのほか、米国通商代表部(USTR)、労働省、国務省、司法省、財務省、商務省が参加する省庁横断組織。UFLPAの執行戦略の策定やUFLPAエンティティー・リストの整備を担う。

(注2)掲載事業者と併せて指定されている子会社や関連組織を除く。

(磯部真一)

(米国、中国)

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