韓国銀行、2023年GDP成長率は1.4%、2024年は輸出などの回復で2%台前半と予測

(韓国)

調査部中国北アジア課

2024年02月01日

韓国銀行(中央銀行)は1月25日、2023年第4四半期(10~12月)と同年間の実質GDP成長率(速報値)を発表した。第4四半期の成長率は前期比O.6%増だった。年間の成長率は前年比1.4%増と、韓国銀行の予測どおりとなった(2023年10月27日記事参照)。同行は、高金利や物価の高騰によって民間消費が停滞したことや、IT(情報技術)関連需要が低迷したことなどにより、新型コロナウイルス流行の影響でGDP成長率が前年比マイナス0.7%となった2020年以降、最も低い水準となったと述べた。

2023年第4四半期の支出項目別実質GDP成長率(前期比)は次のとおり(添付資料表1参照、前年同期比の支出項目別実質GDP成長率は添付資料表2参照)。

  • 民間消費:財貨の消費が減少したものの、居住者家計の海外消費支出などが増加し、0.2%増。
  • 政府消費:物品費、社会保障制度での現物給付が増加し、0.4%増。
  • 建設投資:建築、土木が減少し、4.2%減。
  • 設備投資:輸送機械などを中心に、3.0%増。
  • 輸出入:輸出は半導体などを中心に2.6%増、輸入は石油製品などを中心に1.0%増。

2023年の年間支出項目別実質GDP成長率(前年比)は、支出項目別では、建設投資が1.4%増、設備投資が0.5%増とマイナスからプラス転換し、民間消費は1.8%増、政府消費は1.3%増、輸出入はそれぞれ2.8%増、3.0%増だった。産業別では、製造業が1.0%増、建設業が2.8%増、サービス業が2.0%増と増加したものの、農林漁業は2.2%減、電気・ガス・水道業は4.5%減だった。

シン・スンチョル韓国銀行経済統計局長は同日の記者会見で「内需不振が続いたことがGDP成長率低下の主な要因だ。しかし、2023年下半期以降の輸出の回復が景気低迷の緩和要因になるだろう。2024年は全体的に改善し、2%台前半の成長率となると見込まれる」と述べた。ちなみに、韓国政府は1月4日に発表した「2024年の経済政策方案」で、同年の実質GDP成長率予測値を2.2%としている。

韓国銀行や政府の見方に対し、「聯合ニュース」(1月25日)は、世界経済の見通しと貿易の不確実性がある中で、韓国政府が掲げている2024年の輸出額目標(前年比10.8%増の7,010億ドル)の達成は難しいとの見方を示している(2024年1月30日記事参照)。一方、「ヘラルド経済」(1月25日、電子版)は、2024年の実質GDP成長率の目標達成には、高物価や家計負債などの内需の回復に努める必要があり、企業と政府の協力が不可欠と指摘している。

(益森有祐実)

(韓国)

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