第3四半期のGDP成長率は前期比0.6%増、半導体など輸出が回復

(韓国)

調査部中国北アジア課

2023年10月27日

韓国銀行(中央銀行)は10月26日、2023年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率(速報値)が前期比0.6%と発表した。成長率は第2四半期と同じだった(2023年7月28日記事参照)。同行では、半導体などの輸出や、民間消費の回復をプラス成長の要因として挙げている。実質GDP成長率は、2022年第4四半期(マイナス0.3%)はマイナスだったが、2023年第1四半期(0.3%)からはプラス成長が続いている。

第3四半期の支出項目別実質GDP成長率(前期比)は次のとおり(添付資料表1参照、前年同期比の支出項目別実質GDP成長率は添付資料表2参照)。

  • 民間消費:宿泊飲食や娯楽文化などのサービスが増加し、0.3%増。
  • 政府消費:社会保障制度における現物給付が増加し、0.1%増。
  • 建設投資:土木を中心に増加し、2.2%増。
  • 設備投資:機械類が減少し、2.7%減。
  • 輸出入:輸出は半導体や機械・製造装置などを中心に3.5%増、輸入は石油製品などを中心に2.6%増。

業種別にみると、農林漁業は畜産業を中心に1.0%増、製造業はコンピュータ・電子および光学機器などが増加して1.3%増、電気・ガス・水道事業は1.4%減となった。さらに、建設業は建築、土木とも増加して2.4%増、サービス業は卸・小売業および宿泊飲食業が減少したものの、文化およびその他サービス業などが増加し、0.2%増となった。

シン・スンチョル韓国銀行経済統計局長は同日の記者会見で、「IT・半導体危機、グローバルサプライチェーンの見直し、対中輸出規制など世界情勢が変動する中で、韓国はIT・半導体輸出が少しずつ回復している。ただし、イスラエルとハマスの衝突による地政学的リスクや高金利による金融混乱リスクなど、不確実性は高まっている」と述べた。

韓国銀行では2023年の実質GDP成長率を1.4%と予測している(2023年5月29日記事参照)。シン局長は「第4四半期(10~12月)に0.7%程度成長すれば、年成長率1.4%は可能だ」と述べた。これに対し、韓国メディアでは、必ずしも楽観視できないとの専門家の見方を紹介している。「聯合ニュース」(2023年10月26日)は、「第4四半期に入り、海外の不確実性が高まっている。内需の不振が続く中で、純輸出の経済成長に対する寄与度が低下し、今年の実質GDP成長率は1.2%にとどまろう」(新韓投資証券エコノミスト)、「金融市場のリスクや各種の地政学的リスクなどが、当初の第4四半期の成長率予測を下方修正する方向に作用するだろう」(ハイ投資証券エコノミスト)といった専門家の見方を報じた。

(益森有祐実)

(韓国)

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